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あにの 「おとおとの 1週間の話《後編》」の話

 子どもたちのインフルエンザも無事に回復&出席停止期間も開け、あにの喉がガラガラするのもなんとかやり過ごし、なんとかこのパンデミックを乗り切ったあに一家です。こんにちは。
 週頭から職場でちらほらインフルエンザで休む人が出てきており、もしや隔世感染か……と戦々恐々申し訳ないきもちでいっぱいのあにです。12月の休みはなくなりました。ひー。

 さて先々週のおとおとの1週間の話《後編》を読んで、自分の胃カメラエピソードを語りたくなったので、今日は胃カメラの話です。

 弊社では30歳になると、人間ドックの受診料に補助が出る制度がありました。十数年前、30歳のあに青年も嬉々として人間ドックへと向かいました。こち亀とかバラエティ番組とかで散々描かれていた人間ドックについに自分も参加することができる! もうウキウキです。
 なにより堂々と仕事を休む口実になるのが嬉しかったですね。
 そして検査当日。受付でオプション検査を進められます。

 ピロリ菌検査

 バリウムから内視鏡への変更

 脳ドック

 胸部CT

 腹部CT

 腫瘍マーカー

 などなど。どれもどこかで聞いたことのある検査名ばかりです。さあ科学の力はあに青年の体をどのように解析してくれるのでしょうか。もちろんオプション全部のせでお願いします。トッピング全部のせなんて兄弟が愛してやまないラーメン屋高根家でもやったことがない超絶贅沢です。
 さあ、現代医学の力であにの体を完璧に解析して……

受付「お支払いが15万円くらいになりますけど、大丈夫ですか?」

あに「……内視鏡だけでお願いしまーす」

 あにの初人間ドックがはじまります。


 まあ実際検査をしてみると、まあほとんどがノーマル健康診断で行われるものと大差なく、肺活量検査のホースを咥えて息を吸ったり履いたりするごとにそれに合わせて動くPC画面のカーソルが面白かったり、超音波エコーの技師の先生が若くて美人で、そんな若くて美人な先生になんかヌルヌルのゼリーをお腹にヌッターと塗られて超音波棒でグリグリされるのにちょっとドキがムネムネだったりはしたものの、スケジュールはつつがなく進んでゆきます。
 総合案内に戻り、次の検査の指示を仰ぐと

「次で最期ですね。胃カメラ入れますので、エレベーターで上の階に移動してください」

 ついに来ました胃カメラ!
 存在は昔から知っていました。前述の漫画やテレビにも散々出てきておりましたし、なるほど・ザ・ワールドで「胃ガメラ」なんてクイズにも利用されるくらい世間とあにの頭の中に浸透していた胃カメラ。高価なオプション諸々は諦めましたが、せっかくの初人間ドック。これだけは外すことはできない! しかもこの病院、胃カメラは口からではなく鼻から入れるタイプだというじゃありませんか。時代の超最先端です!
 正直バリウムの味にも興味がないといったら嘘になりますが、やはり人生初の人間ドックを締めくくるのは鼻から入れる胃カメラをおいて他には考えられません!

 検査室に移動し、先生から色々説明を聞き、麻酔の注射をいただき、さあ準備完了。薄暗い検査室に通され、ベッドに横になります。

 先生がカメラを取り出します。
 鼻から入れるのですから、よくテレビ等で見る胃カメラよりも先端が更に細い管になっています。

 ん?

 細い……とは言っても、結構太さがありません? 大丈夫?
 想像していたのは髪の毛くらいの太さの光ファイバー的なものだったのですが、結構…こう……らーめんだったら極太麺と言われるくらいの太さがあるのですが、本当に、それを、鼻に、いれる?

 極太麺の先っちょがくりっと曲がってこっちを見ます。

 すると正面のモニターには、あに青年のマヌケヅラが映し出されます。

 ああ……やはりお前なのか……


 恐れおののくあに青年を知ってか知らずか、先生と看護師さんは淡々と検査の準備を進めます。

「じゃあ入れますねー」

 入れやすいようにヌルヌルを塗られた極太麺が、無慈悲にあに青年の鼻に突っ込まれます。麻酔のおかげか直接極太麺が通る道は痛みを感じないものの、その周辺の、麻酔の効果がある部分の外側のパーツが、まるで押し広げられるような感覚で、鼻の中の異常事態を脳に伝えてきます。

「あれ、ちょっと狭いなぁ…」

 部分麻酔なので先生の独り言もバッチリ聞こえます。先生「あれ」とか言っちゃダメですよ。
 ちょっと狭い鼻腔を通って、カメラは喉へと達します。
 正面のモニターにはあにの咽頭?喉頭?が映っています。

 やだ……あにちゃん、喉までかわいい……

 カメラはずんずんと先に進みます。
 喉にも麻酔が効いておりますので、ここは難なく行ける…

 行け…。。。

 い。。。


「うぼえええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」


 ついにあに青年の自律神経が異物を異物として認識してしまいました。先生もつい検査の手を止めます。

「あー、もしかしてオエってなりやすい?」

「そ…そうでぼええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 止まらない嘔吐反射。
 誰だ、鼻からの検査は楽だとか言ったやつ。

「じゃあもう少し我慢してねー」

「は、はぼええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 返事どころでは有りません。

 モニターの画面はずんずん進んでゆき、あに青年の胃の中が映し出されます。なんだか荒れているのは、日頃のストレスのせいか。今のストレスのせいか。 
 看護師さんは心配そうにこっちをチラチラ見ています。
 やはりここまでえづくのは珍しいのでしょうか。検査のため昨夜から絶食しているので何も出てくるものはないのですが、もう口からも鼻からもなんか液体が垂れ続けています。

「あの、もし良かったら……」

 看護師さんが棚においてあったボックスティッシュを取ってこっちに渡してきます。さすが白衣の天使。辛そうな青年をみて見るに見かねたか。

「これでそこ拭いといてくださいね」

「わかりまぼええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 なにも良くない。

「あー、あにさん、もう少しオエってなるの我慢してもらえますか」

「出来たらしてぼええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ」

 



 結局十数分? 数十分?
 検査中あにのえづきの声が止まることはなく、翌日は腹筋が割れるほどの筋肉痛に悩まされるあに青年なのでした。


教訓
鼻は物を入れるところじゃない。


 あには翌年から今まで、もちろんバリウム検査選択です。


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