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あにの 嫌いだった話

 運動

 集団行動

 足が2本より少ないか4本より多い生き物

 土日の朝から大声で笑い転げる息子達

 弟

 ギシギシときしむサスペンション

 日が高く登って火鉢の中で白く灰がちに残った炭

 年下の元上司

 聞きかじりの知識を我が物顔で吹聴する奴

 ピーマン

 嫌いなものを上げると枚挙にいとまがないあにです。こんばんは。


 さてそんな嫌いなもののなかでも「嫌いだった」と過去形になるものの筆頭といえばやはり「弟」でしょう。

 そも幼少期。3つ年下の弟なんてほとんど自分の劣化コピーですからね。
 乳幼児のかわいい一瞬が過ぎ去ればあとはただただ自分が3年前に克服したあれこれができない愚鈍な塊です。
 しかも「おいーちゃん! おいーちゃん!」と呼びながらどこに行くにもついてくる。なにかやってると「おでも! おでも!」と割り込んでくる。
 好きなわけがありません。

 そんな弟も中学生になり、高校生ともなるとさすがに世界が広がりあににまとわりついてくることもなくなります。
 それどころかオタクをこじらせていたド陰キャのあにと、テニス部兼軽音部と微陽キャの弟。合うわけがありませんね。

 そんなある夜。あには大学生。弟は高校生だったかな。
 しばしば映らなくなる自室のポンコツテレビに、掌底を叩きこんでいると、弟が苦情を言いに部屋に入ってきました。
 うるさいと言われて引き下がるあにではありませんが、運良く次の一撃でテレビが復帰。日曜深夜のお楽しみ、プロレス中継が画面に映し出されます。


弟「プロレス…見るんだ」

兄「まあまあ…ね」

弟「俺、闘魂三銃士とか好きだけど…」

兄「……知らね。小橋建太しか興味ないし」


 主義主張の異なるプロレスラーが二人

相まみえたら

 それはもう、抗争の開始でしょう!


 その夜始まった二人のプロレスラーの抗争は、やがてリングを単身赴任でいなくなった父がそれまで寝ていたリビングへと移し、直上の部屋に寝ている母に何度もクソほど怒られながらも続けられることに。

 そしてその日生まれた抗争はやがてK.F.C.(Kitahachiouji Fighting Crownの頭文字。決して唐揚げではない)王者の座を争う苛烈なものへと変わっていくのです。

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