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アイデアとデザインで広がる農業の可能性

■はじめに

皆さんこんにちは、農GIRL×農LIFE事務局のカネモトナミです。
私は普段はフリーのイラストレーター&デザイナー として、「みんなのココロがキュンするイラストを」というテーマで活動しております。

HPはコチラ→http://naminamiland.com/

今回は、私と農業の関わりについて少しご紹介したいと思います。

■柿農家さんとの出会い

それは約半年前のこと。
私は、知り合いのお母様から畑の一部をお借りできることになったことがきっかけで、定期的に片道30分かけて畑へと通うようになりました。

お借りした畑の隣には柿農家さんの倉庫があり、何度も通うにつれて柿農家のご夫婦とも親しくなっていきました。
そして、いつの日からか農具等を置かせていただくお礼にと、柿の収穫のお手伝いをし始めました。

(写真↓:ご夫婦が営む柿農園)

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お手伝いをしていると、だんだん柿農家さんの実情が見えてきます。
この柿農家のご夫婦は70代。高齢化社会と言われて久しい日本の後継者問題はここも例外ではありませんでした。

もしもお二人が引退されるとなった場合、この広大な土地はどうするのか?
誰か継ぐ人はいるのか?
私にも何か出来ることはないだろうか?

次第にそんなことを考えるようになっていきました。

(写真↓:柿の収穫の模様)

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■柿農家さんと過ごす日々

お手伝いをして初めて知ることは他にもたくさんあります。
その一つは規格外の訳あり品の存在。
柿の収穫時には、日焼けしてしまい市場に出すことはできないけれど、他の柿と変わらず美味しい『規格外の柿』が出ます。
(私はその柿をよく頂いて食べていました。笑)

(写真↓:規格外品の柿)

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見た目が少し悪いだけで、他のものと同様に美味しいこれらの柿を食べていると「この柿で加工品を作ることができたら、捨てたりあげたりしなくていいのでは?」と考えるようになり、いつからかご夫婦の助けも借りながら、せっせと加工品の実験をするようになっていきました。

(写真↓:加工品の実験中)

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(写真↓:スライスした柿を網の上で干している所)

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それは普段デスクワークばかりの私にとって未知の世界で、とても新鮮で楽しい経験でもありました。

そんなことが続いたある日のこと、「加工品を作るなら」とご夫婦からご提案を頂き…
なんと!!柿の木を3本いただけることになったのです。
その時の驚きと嬉しい気持ちは今でもよく覚えています。

それ以来、柿農家のご夫婦との距離もグッと縮まり、これまで以上に様々なお手伝いをさせて頂くようになっていきました。

(写真↓:頂いた柿の木の一本)

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また、柿農家さんのお手伝いを色々していると、ご夫婦以外にも馴染みとなる人が増えいきます。
ある日、今度はご近所の方から「草刈りなど面倒を見れないから土地を貸してあげる」と、またまた嬉しいお申し出を頂いたので、その土地を開墾してさつまいもを植えることにしました。

■黒ずんだ果実の実態

柿農家さんに土地の開墾作業を手伝ってもらっていた時のこと。
その日のお茶の時間は、黒ずんだ規格外品のレモンの話題になりました。
柿農家さんは、少しですがレモンなどの果樹も作っているのです。

レモンは減農薬で作っているのですが、どうしても虫等で黒ずんでしまう年があるようで、今年は特に綺麗なレモンが少ないとのことでした。

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そもそも自然の中で育つ野菜や果実は、形や大きさがふぞろいであったり虫がついたりするものです。
しかし、市場では大きさなどの様々な規格があり、それに沿わないものは、規格外として商品化されません。
そういったものは身内で消費もしますが、数が多いと廃棄される場合もあるのです。

「今年はこんなに黒くなってしまってねぇ…」
「中身はおいしいんやけど…」
「こんなのでも売れたらええんやけどねぇ….」

普段は気丈な柿農家さんがとっても悲しそうな声で呟きました。
その言葉は私の心をぎゅーっと締め付けました。


■なんとかしてあげられないか?

この黒ずみはレモンに限らず、柿や他の果実でも抱えている問題。

「中身は同じやねんけどなぁ〜、やっぱり見た目が綺麗な方がええわなぁ〜」
「中身はおいしいねんで〜」
といった言葉はこれまで何度も聞いてきました。

見た目が悪いから(売れないから)美味しい果実でも自分たちで食べるか人にあげるしかない。私もそうした黒ずんだ果実をたくさん頂いてきましたが、どれも本当に綺麗なものと変わらず美味しいのです。

日々、こうした黒ずみ問題を目の当たりにしてきた私は
『売れる方法はあるはず!』
『伝え方の問題では?』
という思いを抱いていました。

そこで、前述のレモンの見た目や形が規格に沿わないから…という話が出た時、私は思い切って予てから温めていた『レモンの袋に、黒ずんだ果実について伝えるメッセージを入れる』というアイデアを提案してみることにしました。

すると、それを聞いた柿農家さんは、快く承諾してくださり、この件は私に一任してくれることになりました。私は嬉しさのあまり急いで帰って直売所へ行き、早速リサーチを開始しました。

改めて並んでいるレモンをまじまじ見ていると
「文章は農家さんの気持ちをそのまま伝えるものが良いなぁ」
「面白いのもいいかなぁ」
「何種類か作って、お客様が立ち止まって読んでもらえたら面白いだろうなぁ…」
など、様々な想いやアイデアが溢れ出てきて、それぞれの案を熟考した結果、最終的にはこの4種類の紙を入れてみることにしました。

(写真↓:試作品のメッセージ)

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■お客様の反応

ついに、紙を入れたレモンを店頭に出す日がやってきた。

ドキドキしながら結果を確認してみると・・・

これまで規格外品扱いされていた黒ずんだ訳ありレモンは見事完売!!

それ以降も完売する日が続き、柿農家さんも驚きの結果を出すことができました!

(写真:左側は綺麗なレモン。右側が黒ずんだレモン)

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柿農家さんからは「袋詰めは少し大変だけど、売上の数字を聞いたら疲れが吹っ飛びます」と、嬉しいお言葉までいただくことができました。

■ちょっとのことで世の中は変わる

今回のレモンのように、たとえ規格外の訳あり商品だとしても『”ちょっとの”工夫』で売れるようになる。

でも、それを考える時間がない。
考えた工夫を実現できる人が身近にいない。

『ちょっとの工夫で売れる』のはわかっていても、なかなか実現出来ないのはこのあたりが問題なのでしょう。

だからこそ、
農家さんには、デザイナーさんに相談する”ちょっとの”勇気を。
デザイナーさんには農家さんに寄り添う”ちょっとの”思いやりを。

ぜひ持ってもらいたいと思う。

そうした”ちょっとの”ことで世の中は少し変わるはずだから。

私もイラストを生業にする一人として、今後も農家さんをアイデアとデザインで応援していきたいと考えています。
(ゆくゆくは農家さんとデザイナーさんが出会える場所が作れたらなぁ...)

そしていつかは、何もしなくても、普通に規格外の商品も売れる時代が来たらいいなぁと。
柿農家さんに頂いた訳ありながらとても美味しく新鮮なみかんを食べながら思ったのでした。


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