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CP+2021への期待

写真映像イベントCP+2020が、新型コロナウィルスのリスクから開催中止を決定しました。残念だけどしょうがない。「英断」と言う人もいますが「順当」な決断というのが正しいと思います。

ということはさておき、、、

CP+の課題は、名前は変われど、本質は今だにカメラショーから抜け出られていないことだと思います。CameraからImagingへの拡張も進まず、Photographも添え物的な位置づけから変わりません。これは、主催も出展もカメラメーカーが中心であることからくるビジネス構造的な問題だと思います。でも、そこで思考停止しては進歩がないので、いま取り組むべき重要なことを2つ提示したいと思います。

一つは、写真趣味でない人たちに向けた、本物を体験する場作りと、そこに参加してもらう仕掛け作りです。おそらく来年も「若年層を取り込む」を大きなテーマにすると推察します。それ自体は否定しませんが、それが映えスポットを作ったり、映え写真教室を充実させるというのは短絡的過ぎます。若い感性を甘く見てはいけません。本物を嗅ぎ取る力は、ジジイよりもずっと強いです。彼ら彼女らに向けて、映え系の媚びた企画を増やすのではなく、本物体験を強化することこそが重要です。といってもマグナムの写真を展示しましょう、というような発想では進化はありません。参加してもらう仕掛けがセットになっていなければ、壁の飾りに終わります。むかし、車メーカーの人が言ってました。女性をターゲットとした車の企画で「ポップな塗装」「優しい素材のインテリア」「サンバイザーの裏に化粧直しの拡大鏡」など媚びた発想から脱却するのが重要だと。

もう一つは、イメージングの未来を伝える企画を充実させることです。ドローンやVRだけでなく、8K&5Gの時代のマルチセンサーとしての可能性、AIとクラウドを組み合わせた新しいカメラの形や写真の鑑賞方法。ティムクックは次世代プラットフォームはARになると言いました。Amazonが家電を作り、Googleが家を作ろうとしている時代です。カメラは趣味性が高いものだから特別だと思っていた時期がありますが、もうそういう時代ではありません。一足早い量販店売り場のような展示ではなく、業界が元気になる未来を示す場になるべきです。そのためには、ベンチャー出展への特別優遇制度や、各社ブース(又は特設展示)にFutureコーナーを作ることなどあってもいいでしょう。言葉を変えれば、FAANG+M、BATHの中から1社も参加していないイベントに未来はないということです。この取り組みは、来場者の若返りにも繋がります。(若返りは必ずしも若いカメラ女子の誘導だけではありませんから)

これらは、当然ですが、当事者の方々が考えたり取り組んでいることでもあると思います。わかってないはずはありません。でも、そこからもう一歩のクリエイティブジャンプをしないと、現状を打破できません。CP+はカメラメーカー各社のコミュニケーションやマーケティングのプロから具体的なアイデアを集めることも可能なはず。ボクも何かの形で役に立てればいいのですけど・・・

とにかく、長年お世話になってきた業界をなんとか盛り上げたくて、期待を込めて書いてみました。

***おまけ***

一般論として「ユーザー層を拡大する」にはちょっと警戒した方がいいです。売上が伸び悩んだ時など、必ず誰かが言い出すフレーズ。心地よい響きですが、魔の誘いの声でもあります。今の時代、本質的な価値があるものなら、広めるよりも深める方が、世界は速く動くと思った方がいいです。おっさんがステレオタイプで、女性とか若年層へとか言うときはなおさらです。

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