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イメージの最大公約数

写真展のタイトルを考えていた時のこと。小さな物語の入り口が散らかっているイメージから、当初「断片」「Fragment」などを考えたのだけど、ある写真家から、写真の世界では擦れたワードだよね、とやんわり指摘されて思い出したこと。

カメラのカタログ制作に関わっている時は、プロのコピーライターが書いた文章が、セントラルダイニングで作られる料理みたいで、よく書き直すことがあった。「かけがえのない瞬間を」「大切な一瞬を永遠に」「何気ない日常が」など、耳に心地よいけど何にでも使えるセットフレーズが少しも心に刺さらなくて。

アートで、深い意味っぽくなるワード例
1、断片
2、再構築
3、解体
4、投影 
5、関係性 
6、構造化
7、無意識 
8、表層
便利な言葉なのでボクも使うことはあるけど、言葉の雰囲気に酔わないように使いたいなと思う。

それらのワードがダメなわけではなく、実際、ドンピシャはまるものもある。そして、その捉えられ方は時代によっても変わっていく。

言いたいのは、自分の伝えたいイメージを最大公約数的にまとめようとすると、自己陶酔した平凡なものになってしまうことがある、ということ。そういう視点で見れば、「Slow Waltz」は振り切った自己陶酔の確信犯だな。

言葉は繊細で難しく、だから面白い。

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