#続・学習者起点 知識注入型授業を「問いを立てる」で乗り越える
まえがき
基本的な知識を扱い、授業時間が1時間の学習内容について、どのようにして、学習者起点の学びとなる授業展開をすればよいのだろうか。
今回、中学2年生理科「放射線の種類や性質」「産業への利用および生物への影響等」について学習者起点の学び考えたが、授業アイデアが思い浮かばず一斉授業での知識注入型授業となった。
その後も、モヤモヤした気持ちで考え続けた末、今後の方針を本記事に記して、次回の実践に活かす。
1.「問いを立てる」力の必要性
学習者起点の学びで身につける力は、「問いを立てる力」である。例えば、ニュースに取り上げられる内容を解釈し、自分なりの「問いを立てる」ことができることである。ここで、「問いを立てる」とは、「自分の解決すべき課題を設定する」ことである。
例えば、以下の時事ニュースを解釈し、どのような問いを持つことができるだろうか?
処理水とは何か。海洋放出すると何が問題なのか。海外はどのような反応しているのか。汚染水と処理水の違いは何か。などなど。問いを立て、解決に向けた行動をする力が必要である。
特に社会的課題に対して「あの事故は、まだまだ課題があって大変だよね。」といって人任せにすると民主主義は危うい。
2.「問いを立てる」力を育む過程
「問いを立てる」モデルとは、 「Ideas(基礎的知識)」、「Connections(つながり)」、「Extensions(応用)」という3つのフェーズ から成り立つ。以下記事を参照。
このモデルを参考にして「問いを立てる」を一歩を踏み出す。
3.最初の一歩
生徒の放射線のイメージは「怖い」というのが大半である。ここで最初の問い立てである。「放射線の何が怖いのか」。
4.多面的な視点で問いに迫る
(1)教科書を読み解く
「放射線の何が怖いのか」を頭に入れて、教科書を読み解く。ここで、必要な基本的な知識を自ら得ていく。
(2)多面的な視点で事実を読み解く
社会的課題に繋がる問いは、学習指導要領準拠の教科書だけでは多面的に物事をとらえることはできないだろう。必要な教材をそろえる。
(3)注意
資料を読み解く際に、他人の意見や考えを排除して、「放射線の何が怖いのか」を再度頭にに入れて、科学的事実を丁寧に読み解くよう支援する。
5.多角的な視点でオープンな問いを誘う
上記4まで、中学2年生の1時間の範囲で取り扱える内容であろう。ただし、放射線の学習項目は中学3年生でも学習をする。したがって、系統性を理解し、中学3年生の最後の授業で社会的課題に迫る問いを生徒が立てることができるよう。中期的な視点で授業デザインを仕組むことが必要である。
(1)学習指導要領の系統性を理解しつなげる仕組みを
学習指導要領の放射線に関しては、以下の視点で学ぶ。生徒にあらかじめ提示したり、学習履歴を残すことが必要である。
・中2「放射線の種類や性質」「産業への利用および生物への影響等」
・中3「人体への影響」「エネルギー」「原子力発電」
(2)多角的な視点を加える
社会的課題にせまるために、以下の視点も加えるべきだろう。
・「福島原子力発電所事故」「チェルノブイリ原発事故」「長崎・広島の原爆被害」など
(3)現在の社会的課題を扱うために
時事ニュースを扱う。テレビや新聞、NPOなどの動向を教師が注視しながら教材を集めることが必要である。
あとがき 学ぶ軸をもつ
学習者起点の学びを促進するためには、ICT活用が必須であることは間違いない。しかし、学習者起点の学びの軸として、「問いを立てる」力、「対話する」力の2つを育むべき力として教師は授業デザインをしなければならない。
参考
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