1年後の凧

なんとか新しい年を迎えました。当時のマンションには10年以上住んでいましたが、初日の出を見ることはなかったのです。この年、気功でよく歩いている河川敷まで行って初めて見ることができました。太陽の光を受けて、家内が生き抜いてくれたことに深く感謝しました。

前年の正月は家内にがんがあることが分からず、世間と同じような三が日を過ごしていました。しかし、何かあるのが人生です。
前年の家内のがん発覚からの出来事を振り返ります。

1月 直腸がん発覚
2月 病院で検査三昧
3月 腹腔鏡手術後、縫合不全により腹膜炎発症、生死を彷徨う
   緊急開腹手術にてストーマ創設
   リンパ節転移なくステージ2確定
4月 ストーマ生活と並行したリハビリ
5月 体重もやや増え、日常生活に近づく
6月 ストーマ閉鎖手術、癒着がひどく開腹手術で退院も予定より伸びる
7月 腸閉塞に近い症状が二度、緊急外来に行くが大事に至らず
8月 気をつけながら少しずつ日常生活へ
9月 CT診断による経過観察問題なし
10月 腸閉塞に近い状態で緊急外来へ、短期入院
11月 腸閉塞に近い症状が二度、どちらも時間を置いて治る
12月 少しずつ安定、年末に神戸へ

縫合不全さえなければストーマをつけることもなく経過観察で済むはずでした。縫合不全の影響で2回も開腹手術をしていることから傷口が大きく内部へのダメージもあり、いつ襲ってくるか分からない痛みと向き合わなければいけません。
年が明けてもたまに激痛があって、緊張感が走ることもありました。米粉のパンを求めて県内を探し回った時、偶然に出会った漢方専門のお店が扱う漢方薬を試したりもしました。何かを試行するものの、最終的には時間が経過して体内の治癒力を信じていくしかありません。

1月22日を迎えると、1年前に家内が直腸がんを宣告されたときの状況を思い出します。あの時、前年11月に父を末期胃がんで亡くして2カ月も経たない時期だったので、あの時は精神的にこたえました。

この年の冬は寒さを感じましたが、前年は寒いという感覚もなかったです。寒さを感じるどころではなかった状態でした。夜中に起きてはがんに関する本を貪り読んでおり、寒さを気にする感覚は全くありませんでした。
人間の感覚は、意識を集中していないとあてにならないと考えます。特に感情が昂っていたら、なおさらです。
まさに、感情は感覚を支配すると言うのは妥当だと思います。

1月も終わりの頃、気功の場所を偶然にも前年の同じ日に散歩した河川敷にしていました。あの時は病理検査の結果で悪性であることが確定し、気晴らしで歩いていて時折涙ぐんだところです。当時は青空の中で凧が上がっていましたが、この時は曇り空でもまた凧が上がっていました。

当時のブログでは、以下のコメントを残しています。

今がつらい方、きっと乗り越えられると信じて。
いろいろな山があるけど、きっと乗り越えられると信じて。
生きていることに感謝し、生かされていることに感謝して。
前に進もう。
大丈夫。

1年がたち、まだ見えない先へ進みます。

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