それでも生き抜く

ストーマ閉鎖の手術から1年が経過した頃、10年以上住んでいた場所から引っ越しました。家内の直感で春先に物件を見つけ、2ヶ月もたたない期間での引っ越しでした。短い準備期間でモノを処分したり売りに行ったり、新しい照明を購入するなど、多忙な日々を過ごしました。

新しいマンションは偶然海が近い場所でした。物件を下見した後、Google Mapを参考に通路がある場所を目指して歩くと、海に続くトンネルがありました。そのトンネルを越えて海を目にした時、家内は感動で涙を浮かべました。

引っ越し後、家内は以前から海が好きなので毎日海に行くようになりました。私も母親の実家が熊本県の天草だったので、夏休みに母の帰省に同行してよく海を見ました。しかし、日常的に海が近い場所に住むのは初めてで、しばらく感動に包まれました。
もし、家内ががんになっていなかったら、この場所には住んでいないだろうとふたりで話しました。

経過観察結果も良好で、新しい環境での本格的な夏を迎えている途中にハプニングが起きます。お盆休みの途中での出来事です。

お盆の8月14日でした。
引っ越しする前も家内はがん再発防止のため気功を徹底的に実践しており、引っ越し後も毎朝4時に起きて1日に3セットは欠かしませんでした。
この日は暑い中でも午前に続いて、午後も夕方前に気功しました。
歩いた後に立ち止まった時、蜂が家内の顔の近くに飛んできました。そこで手で払うと刺されてしまうと考え、頭を振って蜂を避けようとしたそうです。そして、頭を急に振ったためめまいを起こし、右後方に大きく転倒しました。転倒時、咄嗟に頭を右手で庇ったため、右手首を地面のコンクリートに大きくぶつけました。

家内は「折れた」と思ったそうです。お盆時期、しかもこの日は日曜なので病院は閉まっています。家に戻り119番に相談したところ、緊急対応を行っている隣の市の中核病院を紹介されて、急いで車で向かいました。
診察結果は、やはり骨折でした。そこでは緊急の応急処置だけを施し、翌日以降に別の病院で診てもらうようにとのことでした。

細かい経緯は省略します。
また入院と手術で右手首にプレートを入れることになりました。そして、1年が経過したあとに更に入院、手術にてプレートを除去しました。実は、プレートを除去する前に、今度は蝉を避けようとして階段から転倒し、右足首を強打したのです。
すぐに整形外科を受診したところ、ひどい捻挫とのことで湿布での経過観察となりました。
しかし、プレート除去後にも足首の痛みが続くため、いろんな整形外科を受診したところ、一部骨折したことが分かったのです。ただ自然治療ということで何もしなくていいのは幸いでした。

ところが、お腹の痛みは経過とともに間隔が開いていたのに、この年の春頃から頻度が多く、かつ痛みもひどくなりました。家内曰く、七転八倒とはこのことかと思ったそうです。
何故そうなったのか分からず、またしても病院を巡るようになりました。
いくつもの病院で診察や検査をしても納得した回答は得られず、諦めかけた矢先、紹介を受けた病院で初めて減薬という指導を受けました。

少しずつですが、減薬の効果からか排便状況も改善しつつあります。これまでの長く険しい道のりを経て、家内の体調は快復しつつある兆しを感じております。

この先どうなるか分かりませんが、希望を持って前に進んでいきます。

光をめざして。

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?