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舞台初めてでも楽しめる乃木坂の舞台

 乃木坂メンバーは沢山の舞台に出演されていますが、意外とこの舞台がオススメ!っていう記事を見たことがないんですね。なので個人的におすすめしたい2作品を紹介する記事を作ってみました。

『嫌われ松子の一生』桜井玲香/若月佑美

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中学教師だった川尻松子(桜井玲香/若月佑美)は教え子が起こした窃盗事件をきっかけに職を追われ、家族とのいざこざから家も飛び出し故郷から失踪してしまう。そこから彼女の激動の人生が始まった。太宰治の生まれ変わりと信じ、文学に生きようとするも結果も残せず生に苦悩する男・八女川徹也(吉川純広)、八女川の友人で彼に嫉妬する男・岡野健夫(岡田達也)、松子が働く風俗店のマネージャーで不器用な男・赤木(なだぎ武)、その店の常連で、その後マネージャー兼ボディーガードとして松子と組んだ快楽主義の男・小野寺保(堀越涼)、理容室を営んでいた平凡な男・島津賢治(藤田秀世)。そして再び出会う元教え子で愛を知らない男・龍洋一(オレノグラフィティ)。
密な空間で繰り広げられる1人の女性と、彼女を取り巻く6人の男たちの愛憎劇。

 この舞台はなんと川尻松子を演じる桜井玲香・若月佑美の遺影が映し出されるという衝撃的な演出で始まります。髪も衣服もボロボロで、ウイスキーと思われる酒瓶を煽り、木でできた十字架を背負い、この世の全てに怨嗟を叫ぶ……。それがこの舞台のスタートです。

 引用したあらすじからでもおおよそ内容は察することが出来るかもしれませんが、この川尻松子という女性の凄惨な一生を描いた舞台となっております。いきなりトルコ風呂(現在でいうソープランド)の面接に始まりますし、出会う男惚れる男ほ殆どが問題を抱えているにも関わらず、愛し愛されたいと願うのですが、残念ながら理容店のお話を除いて不幸になります。

 では何故この舞台をおすすめしたいのかと言うと、何より桜井玲香・若月佑美の演技が凄くて飲み込まれてしまうからなんですね。私はこの舞台の初見時に、まあ有名小説原作だから面白いストーリーなんだろうな程度にしか考えてなかったのですが、もうトルコ風呂面接が終わった辺りから目が離せなくなりましたし、呼吸をすることを忘れるくらい魅入ってました。場面転換のときにはっとして深呼吸するくらいです。
 舞台っておもしれー!ってなったのがこの舞台でした。

 桜井玲香の赤い熱情編若月佑美の黒い孤独編と二種類ありますがどちらから見ても問題ありません。それぞれストーリーこそ一緒ですが演出やセリフが異なる箇所があるので、片方を見たあとにもう片方を見る、という楽しみ方も出来ると思います。サブタイトルにするだけあってやはり、桜井玲香の演技は情熱的で感情的で私を愛してくれと言わんばかりでしたし、若月佑美の演技は愛されたいという欲求があるにも関わらずどこかそれを抑え込んでしまっているようないじらしさがあったと思います。
 また身内ネタというか、乃木ヲタなら「ニヤッ」とするようなネタが序盤と中盤に一個ずつあったりもします。この舞台の数少ない笑えるポイントです。それが終わったら覚悟しておいてください。
 体調も精神も万全な状態で見ることをおすすめします。

 こちらの動画は円盤化もされていますし、テレビで放送もされていますが、やはり今なら「のぎ動画」を利用するべきではないでしょうか。定額で舞台見放題ですよ。とんでもないサービス始めてますよね。

『モマの火星探検記』 生駒里奈

2033年。人類は初めての惑星間航行に挑戦する。

<<モマの物語>>
宇宙飛行士のモマは、父との約束を果たすために
人類初の火星探検に挑む。
<<>ユーリの物語>>
ユーリは行方不明となった父親にメッセージを送ろうと
仲間と小型ロケットを作り始める。

― きこえますか このこえが ―

 宇宙飛行士『モマ』(矢崎広)と、中学生の女の子『ユーリ』(生駒里奈)の2つの物語が宇宙を通じて交錯する壮大なサイエンス・ファンタジー、それが『モマの火星探検記』です。
 人類初の火星探査機に乗り込む直前、モマの元へ父が亡くなったとの知らせが仲間より届きます。モマはそれでも気丈に振る舞い、様々な国の宇宙飛行士と共に火星へと旅立ちます。道中様々な事を経験しながらモマは人間は何のために生きているのか、自らに問いかけながら火星を目指します。
 自らを『僕』と言うユーリはとても好奇心旺盛で天真爛漫で仲間思いの女の子です。ある日秘密基地の中で大量のロケットを発見し、ユーリたちは宇宙へロケット打ち上げを計画します。しかしロケットはそう簡単には飛びません。そんな中、ユーリは行方不明だった父が実は新聞記者ではなく宇宙飛行士であることを知ります。自らの気持ちが分からなくなる中、それでもユーリはロケットを打ち上げようと奮闘します

 この舞台は『宇宙』をテーマにした笑いあり涙ありの大作です。一言でこの物語の魅力を表すとしたら、作中でも登場する印象的なセリフでもある

『全部、繋がってるんだ』

これにつきます。本当に、全部が繋がるんです。
 モマが火星へ向かう途中で経験した不思議な出来事も、地球にいる人達と通信を繋いで会話したことも、宇宙船に同乗している謎のロボット『テレスコープ』と『マイクロスコープ』との下らない会話も、全てです。特に火星へ向かうモマのストーリーでのあれこれが要注目だと思います。
 ユーリの物語で注目するべきはやはり井俣太良さん演じる『おじさん』でしょう。突然ロケットを打ち上げようとする中学生組の前に現れるのですがその姿はユーリにしか見えません。何故なら彼は幽霊だからです。しかし何故か彼はロケットを作っていることを知るとユーリを励まし続けます。
 上記の発言もこのおじさんのものです。何故ユーリにしか見えないのか、何故ロケットを飛ばせようとするのか。その謎が解けた時、全てが繋がります。
 2つのストーリーが同時進行する構成になっていながら話は非常に理解しやすく、最後には涙すること間違いなしです。

 少年社中さんの舞台を見るのはこれが初めてだったのですが、やはり本物の舞台役者さんを見ると、舞台演技ってすげー!と圧倒されますね。特に井俣太良さんは存在感も抜群ですし、何より声も動きもどれも凄い。他にも大竹えりさん演じる『お母さん』が好きです。ユーリの目線では悪役的な立場なのですが、その行動や言動には共感しっぱなしになります。(正直途中まで怖かった)
 またこの舞台というか少年社中さんの舞台は音楽が非常に印象に残るのですが、このモマの火星探検記は特に、ですね。少年社中20周年記念作品『トゥーランドット~廃墟に眠る少年の夢』でもモマの火星探検記の音楽が鳴る時があるのですが、その瞬間泣きましたね。はい。

 モマの火星探検記は少年社中さんによって3度舞台化されています。2012年、2017年、2020年とそれぞれ行われており、そのうち生駒里奈がユーリ役を努めたのは2017年と2020年の2作です。どちらを見ても問題ありませんが、私は敢えてまだ拙くも天真爛漫な"らしい"ユーリに感じた2017年を推します。もちろん全バージョンを見るのもおすすめです。

最後に

 他にもいろいろな舞台を見てみたんですが、色々考えて今回はこの2つの紹介に留まりました。乃木坂メンバーが大人数で参加している『あさひなぐ』のような舞台もいいかなと思ったんですけど、他の劇団や役者さんのところに乃木坂メンバーが参加して演じる事が多いと思うので、敢えて1,2人が参加しているものを挙げました。
 意外とちゃんと紹介する文を書くのは難しいですね。また機会があれば他の作品についても書いてみたいです。『ナナマルサンバツ THE QUIZ STAGE』とか『七色いんこ』とかも面白いので。

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