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【感想】鬼滅の刃 無限列車編

この映画を見に行く前に、
近所の寿司屋さんの女将さんと話したことが
印象に残っていたので少々語らせてほしい。

この女将さんも鬼滅の刃を見に行く予定と聞いたのだが、姪っ子との付き添いで、アニメも漫画も見たことがなく、映画で初めて鬼滅の刃を見るらしい。
せめて見た方がいいのでは?と心配してたら、「ふふ…、これがあるから大丈夫よ!」と、その女将さんは「3分でわかる!鬼滅の刃!」というYou Tube特集を見せてきた。
す、すごい…。これがヲタクとライト層の差…!と
思わず感心してしまった。

このぐらい漫画やアニメを全く見ない人でも見ようという気にさせる鬼滅の刃すごい。

閑話休題。
さておき、鬼滅の刃を見てきた。
映像美や作画の素晴らしさやら色々と感心するところはあったけど、改めて映画を見て感じたことがあったので、そこに焦点を当ててみる。
※以下、ネタバレあり感想。

鬼滅の刃は話がとても分かりやすい。

例えば、同じジャンプ作品のワンピースとNARUTOを例に上げてみよう。
一言でワンピースを説明すると、「ルフィが世界に一つだけの財宝を探して海賊王になる話」なんだけど、絶対にこの説明が全てを説明してないことがわかるだろう。
「今侍の国で何してるの?」と言われても「えっとね、あれはワの国の…いや、その前に…。…何から説明すればいいかな…」としどろもどろになる自信がある。

NARUTOもそうだ。
「ナルトが火影になる話」なんだけど、「何で仲間のサスケと戦ってるの?っていうかこの新しいキャラは何?」と聞かれても言葉に詰まる。
王道のジャンプ作品は初めは話が簡単でも、進むにつれ、どんどん難しくなっていって、ライト層はついていけなくなる気がする。
HUNTER×HUNTERとジョジョは最早もうどこからどう説明したらいいか分からない。

鬼滅の刃はその点説明しやすい。
「鬼になった妹を人間に戻すために、鬼の始祖を退治する話。」
どのパートの話も共通してこれで説明できる。
説明が難しいのはあの無惨様のパワハラ会議ぐらいだ。なので、とても分かりやすい。
後、悪者が鬼なのでとても分かりやすい。
複雑な心理戦がほぼないので、ライト層あるある「話についていけない」という事がほぼ起こらない。

後、今回の映画でナビゲーター役を果たしていたのは「魘夢」(悪夢を見せて戦う鬼)だったと思う。
この鬼、めちゃくちゃ自分の能力について、事細かに説明してくれる。
技も「強制催眠!」とそのまんまだしね。
「伸縮自在な愛」とは大違いだぜ。

個人的に一番面白かったのは、列車と融合したということを自らネタバレするというところだった。
「これだけの手間と時間をかけて、400人もいる乗客を一人も喰えず、このまま俺は死ぬのか…!悪夢だ…!」という断末魔には、炭治郎たちにはネタバレせずに、黙って乗客をコッソリ食べておけばよかったのに…と思わずにはいられなかった。

そして、この鬼の能力のおかげで、それぞれの主人公たちの過去や生い立ちも何となく分かるという優しい仕様。
更に「上弦の鬼に入れ替わりの儀を〜」のくだりで次にいきなりやってくる猗窩座の説明をして去っていくのも親切だなと思わざるを得なかった。
あの説明がなかったら、猗窩座の登場が唐突というレベルに収まらず、最早どなた様でしょうかというレベルに達していたと思う。
そういう意味で「魘夢」がかわいそかわいい。


カタルシス効果がすごい。

この映画、一切も後味が悪くない。
結末では、敵(猗窩座)は死なないし、強い仲間(煉獄さん)は亡くなってしまうので、ハッピーエンドかバッドエンドかでいうと、バッドエンドの方に入ると思う。
ぎりぎりハッピーエンド要素を抽出するなら、200人の乗客を守れたことだけど、観客にとっては、200人のモブ(乗客)の命よりも主役(煉獄さん)の命のほうが重い。
だから、ある意味バッドエンドだけれども、それでも後味が悪くなく、むしろ一種のカタルシス効果があるのはすごいなぁ。
(私が普段後味悪い作品を好んでいる弊害もあるかもしれませんが)

鬼滅の刃が爆発的にヒットしたのも、カタルシス効果がすごく大きい映画だったからだと思う。
ただでさえ、コロナで陰鬱した世の中、何か捌け口が欲しい、そんな需要がうまいことハマったのかなと。
実際、この映画本当にすごく泣ける。
素晴らしい映像と音楽と声優の演技が全力で泣かせにかかってきてると思う。煉獄さんの最期の母上に逢えたときの笑顔でうるっときちゃった。
だからこそ、この映画を見て泣いて、滅茶苦茶ストレス発散になった人は大勢いる気がする。
感想をある程度身の回りの人に聞いても「すごかった!」「泣けた!」「煉獄さん!」「やばい!」っていう答えが返ってきた。
鬼滅の刃をあまり知らない人でも同じような感想を持てるってすごいな、って純粋に思った。

邦画はやっぱり分かりやすくて、カタルシス効果が大きい作品が人気が出て、受け入れられるんだなーって改めて感じたのかもしれない。
このまま日本経済を支える柱となってくれ…。