日記【 傘が沢山刺さっている家 】
佐川急便のお兄さんは、毎回同じ人だ。
担当エリアがあるんだろうな。
そこで困るのは、宅配を受け取るのは毎回私だということだ。
両親は居ないし、姉は自宅でリモートワーク。
自然、ピンポンに応えるのは私になる。
毎回おなじお兄さんで、毎回ボサボサどすっぴん・猫の毛だらけの部屋着で出る私。一応髪に手ぐしは通す。
「いつもいるこの人、仕事してないのかな…?お母さんは居るし、実家暮らしの娘さん?…ダメな人間なのかな…」
って思われてそうで恥ずかしい。事実すぎて。でも、上記のように思っているのは私で、お兄さんが思っている訳では無い。他人は私に、さして興味を抱かないのだ。
お兄さんはいつも謙虚で、荷物を渡す時に何故か
「すみません!」という。私怖い顔してるだろうか。
最近は「ありがとうございますー」と言ってくれるようになった。
こちらも、「ありがとうございますー」で返す。
そのうち、少しづつ何らかを話すようになった。
今回は、猫のトイレ砂を配達してくれた。
「ここにサインお願いします!」
と、サインする場所を丸で囲った伝票を渡される。
その丸の上に、なんらかの突起がふたつ付いていた。
………猫や!猫の顔のかたちや!
(トップ画参照)
伝票を返す時に、
「これ、猫ちゃん…」と言ったら、
「流石ですね!!さっすが!流石ですねぇ!」
とめっちゃ褒めてくれた。訳が分からないが、褒めてもらえるのは嬉しい。お兄さんが楽しげでよかった。
「可愛いです!」と返して、「ありがとうございました!」と去っていった。
今回は、猫の砂以外にもうひとつ、荷物が届いていた。
なんだろ?とよく見て見たら、
お隣さん宛の荷物………!
私はそれを担いで走った。まだいるかな、まだいるかな、
居た!!!
幸い事なきを得た。
うちの近所は、同じ苗字の家が並んでいる。
お隣さんも、同じ苗字だ。
だから、この間違いはよくある。
「あー、すみません!じろうさんのですね!」
実際は、はるおさんと読むのだが、これ以上「すみません」と言わせるのもあれなので何も言わなかった。今後は間違いなく届けてくれるだろう。じろうさんちに。
宅配と言えば、うちは中々辺鄙な場所にあるので、
デリバリーは来ない。Uberなんか見たこともない。フィクションの世界だ。
でも最近、少しエリアを拡大したのか、ピザ屋さんとお寿司屋さんが来てくれるようになった。
ここで問題になるのが、同じ苗字が並んでいることだ。住所の表記もない。
分かりやすいマンションとは違い、田舎はダンジョンだ。
私の家を見つけることが出来るだろうか。
間違えてお隣さんに配達してしまわないだろうか。
すると、
あら今日のがのさんちはピザなのね
ってなって、なんか恥ずかしいじゃん。
そういえば、Uber(Googleかな?)のコマーシャルで
「傘が沢山ある部屋です」をヒントに届け先を見つけた例があった。
うちの生垣にも、沢山傘をザクザク刺して
「傘が沢山刺さっている家です」と伝えればいいかな。
もう二度と来てくれ無さそうだ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
のがの家は気が狂った
と、回覧板で回されることだろう。
ありがとうございました。
のがの
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