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日記【3,500円より安い5,000円】

カウンセリングで何度か聞かれたことがある。

「お金や空間など、何の制約もないとしたら、何をしたいですか?空を飛ぶとかでもいいです。」

皆さんは何が思いつくでしょうか。

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先日、3,500円のパフェを食べた。は?
めちゃくちゃ高価だ。
姉妹で出かけたのだが、姉と妹が過去行って美味しかったフルーツパーラーを予約していたのだ。
私は、パフェがそんなに高価だなんて想像していなかった。パフェだよ、パフェ。パ・ル・フェ。ちなみにパルフェは「完全な」という意味で、英語ではパーフェクト。ラテン語がルーツらしい。
完全なお菓子だから、3,500円もまぁ、しょうがな、くない。
でも、その場の雰囲気を壊したくない。
あなた達とは経済の水準が違うのという言葉を飲み込みおくびにも出さずパフェを注文した。や、びっくりして、ちょっと顔に出ちゃったかな…

もっと安価なやつはなかったのかと思われるかもしれない。
しかし、残念ながら無いのだ。信じられない。
勿論、高さには理由がある。オシャレにカットされた高価なぶどう代表のシャインマスカットがこれでもかと乗っているのだ。見たことの無い花だって乗っている。下には何とかのアイスとか何とかのクリーム(クレモーと書いてあった)だとか何らかのジュレなんかが入っていてオシャレだ。冬瓜なんか入っていて気でも違ったのかと思ったが、アロエみたいで美味しかった。パティシエを呼んでくれ。

とても美味しかったし、3,500円で姉と妹との時間と今後の関係を買ったということで良しとする。

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ところで先日、本屋へ行った。
姉についていっただけで、特に目的はなかった。
大型商業施設内にある本屋。文房具やらなんやらも一緒に売っている、広い本屋だ。平日なので、客はまばらで過ごしやすい。

私は短歌が好きだ。
せっかく来たのだし、短歌の本でも探してみるかと
俳句・短歌のコーナーに歩を向けた。この本屋の短歌ブースはとても小さい。そのくらい、概ねの人が短歌に興味が無い。
だからいつも、誰もいない。
今日だってこんなに人がいないんだから、と思ったら、居た。
そこにだけ、ピンポイントに。なんで。
この広い本屋のこの時間、この短歌のコーナー。客がほぼ居ない中でこのピンポイントに。
…運命で間違いない。
しかしその人は、何故か遠く離れたスーパーのカートを持ち込み棚によせ、床に座り込んで本を読み、短歌コーナーを我がものにしていた。怖い。
…運命とはいえ私とは相容れない人、おそらく悲運が待っているので静かにその場を後にした。

正直、もーなんで!
誰もいないだだっ広い本屋の短歌というメジャーでないジャンルの棚にだけ人がいる。そんな馬鹿な。
勿論、誰かがいるのは当たり前だ。私だって短歌コーナーに行くのだから、他の誰かだって短歌コーナーにいても不思議は無い。
ただ、あんなにお客さんがいないのに…人情としては
もーなんで!
なのだった。
短歌の本を選定するのには時間がかかる。わかる。
その人は当分短歌コーナーをジャックし続けるだろう。
仕方ない。
私は運命に翻弄されながら本屋を去り、他の用事をすませた。

駐車場へ向かう帰り道、実はもう一度あの本屋の前を通る。
姉に断り、もう一度だけ短歌コーナーを覗きに行ってみた。
いない!
果たして私は、素晴らしい新刊をゲットしたのであった。ほくほく。
その本の価格が2,000円。
実は最近、短歌の本をもう2冊購入している。
全部合わせれば5,000円程になる。
3,500円のパフェは渋るのに、短歌にはお金を惜しまない。
姉と妹には、短歌に5,000円払うなんて渋々の渋だろう。
でも私にとっては、3,500円のパフェより、5,000円の短歌の方が安いものなのだ。

何を高いと感じるか安いと感じるかは人それぞれだ。
勿論収入に左右されることもあるだろうが、そこを度外視しても、お金をはらいたいものがある。自分の人生に、必要なものがある。

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「お金や空間など、何の制約もないとしたら、何をしたいですか?空を飛ぶとかでもいいです。」

どうでしょう。思いつきましたか?

んー、私は、失踪かな。


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ありがとうございました。

のがの









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