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雑記【 ヤドクガエルの消極的宣戦布告 】

28歳まで、ゴシックロリータをやっていた。
髪はおしりが隠れるくらい長かった。
現在は男装、ベリーショートと極端なファッション遍歴だ。
今は、女であることをやめたい。
といっても、トランスジェンダーではない。女をやめたからって、男になりたい訳では無い。性別を失いたいのだ。
女の身体は嫌いだ。頑張って痩せても、女は女だ。
曲線や、いらない出っ張り。女らしさが恥ずかしい。
友人の子供に、「のがのは男なの?女なの?」って聞かれた時は、とても嬉しかった。

大学生の頃は、痩せることに執着していた。
食パンに、オリゴ糖ときなこを混ぜたヘルシーなペーストを塗り、9等分にする。
そのひとかけら分のカロリーを算出し、ゆっくり、一日かけて「今20kcal食べた」と数えながら食べる。半ば強迫的で、不安で苦しい毎日だった。美味しくないし。
足ほっそ!なんて言われたらもう快感だ。もっともっと細くなりたい。
それである時、一気に過食に走る。罪悪感でいっぱいで、ボロボロ泣きながら食べる。

痩せにこだわるのは今も変わらない。鬱で休職した頃は、食事を取れず、体重が30kg台に突入した。正直、嬉しかった。
現在、食事は摂っているが
ここ5年程は、体重計に乗っていない。怖いのだ。体重を見たら、また極端なダイエットが始まりそうで。

でも、ルパン三世みたいな身体になりたい。
黄色のFIATで、絶壁やガードレールのうえを縦横無尽に走り回りたい。回りたくない。

最近は、多様性とかいうちょっと嘘くさい概念が持て囃されている。結局のところ、“許容範囲の”多様性、なんだろうな、と思っている。
しかしそれゆえ、男女分け隔てないファッションが増えてきていて大変助かる。
女性の小さい体でも着られる、男性仕様のスーツを買った。
くびれ無し、おしりや太ももの強調無し。かっこよく着られる。

いやいや、ゴスロリとか女の子の格好やん。性別ごりごりやん
と思われるかもしれないが、
スカートは太ももという女の象徴みたいなパーツを隠してくれるから好きだった。
パンツスタイルはどうしても、足やおしりが強調される。
仕方ないので、振り切ってゴスロリになった。

普通にただスカート履けばええやん。
そうかもしれない。
ただ、私は他人から
ギョッとした目で見られているという被害妄想がある。

そこで、
「この服を着ていればそりゃギョッともするだろう」と
 自分を納得させ、被害妄想を軽減するために始めたのがゴスロリだ。
ちょっと何言ってるか分からない。

ゴスロリなどの目立つ服装には、他にも効果がある。
「俺に近づくと怪我するぜ」
である。
特異な格好をしていれば、普通の素晴らしい人達は察して私に近づかない。
近づいてくるのは、似たような考えや人生の躓きを抱えた人たちだ。それはそれでキツイ事もあるけど。

私にとってのゴスロリは、鎧、戦闘服だった。
それを着ていれば誰も寄せつけないし、自分を守れる。強くあることが出来る。

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ヤドクガエルをご存知だろうか。
カエルの毒を矢に塗って使用したことからヤドクガエルという名前になったとかならないとか。
彼らの体色は赤青黄色と非常に鮮やかで、見る人によってはおどろおどろしい。
本人に聞いた訳では無いが、あれは
「俺に近づいたら怪我するぜ、むしろ死ぬぜ」という宣戦布告らしい。やるならやるからな、という消極的な宣戦布告だ。
毒を持つ生き物は、身を守るために、「俺に近づいたら怪我するぜ」と警戒色を使って警告する。

私にとってのゴスロリや男装は、この警戒色と同じなのだ。
鎧かつ戦闘服で、消極的な宣戦布告だ。
近づいたが最後、私は貴方を傷つけるだろう。
だから服装で警告する。「俺に近づいたら怪我するぜ」と。

ヤドクガエルはヤドクガエル同士で、広大な森の中で出会い、お互いの悲しみを慰め合う。ヤドクガエル同士なら、誰も傷つけずに暮らしていける。
これが一番の平和なのだ。
とても寂しい、平和なのだ。

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私はヤドクガエルが好きです。かわいい。
どうやってあんな色になるのでしょうか。

苦手な方、すみませんでした。

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