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あなたが船を選んだのは

私への思いやりだったのでしょうか

伊勢正三 作詞、海岸通という曲の冒頭一節より。伊勢正三、大久保一久の2人からなるフォークデュオ、風の1枚目のアルバムの収録曲です。

伊勢正三さんという名前に聞き覚えが無い方でも、「かぐや姫」というフォークグループをご存じの方は多いのではないでしょうか。そのフォークグループのメンバーの一人が、伊勢正三さんです。

かぐや姫、と言えば、代表曲はやっぱり「神田川」でしょう。

どうして神田川のことを突然書き出したか、といえば、発端は全然関係ないところでした。

。。。

バリアフリー、という言葉を耳にするようになってから、20年以上が経つでしょうか。

今月閉幕したパラリンピックの影響から、メディアでもハンディキャップの説明は多くされていましたが、その差をゼロ若しくは限りなくゼロに近づけることがバリアフリーの考え方だと思います。

ハンディキャップと言ってもその中身は非常に多岐に渡るのですが、その中の一つ、「色覚」についてのある取り組みについて、調べていました。そこで見つけたのが、「カラーユニバーサルデザイン」についての発表です。

自分にとっての普通が、その他全員にとっての普通とは限らない。

言葉ではわかっているつもりでも、なかなか実感しにくいのが正直なところです。

先のカラーユニバーサルデザインも、多くの実験の結果から、どのような色覚の人にも分かり易い色の組み合わせにて纏められてはいるのですが、「赤が黒や焦げ茶のように見える」「緑が黄色やグレーのように見える」と言われてもよくわからず。。。でも、ピンと来るかどうかも大事ですが、肝心なのは「わかりやすく配色したつもりでも、見えにくい人がいるかもしれない」という事実があるということを、認識することではないでしょうか。

先のウェブページの下部に、「作業の経緯」を纏めた項があります。

「一般色覚の人が選んだ色」と「色弱の人が紛らわしいと感じる色を除外」した結果の比較が出ているのですが、半分以上、かなりの数の色を「紛らわしいと感じている」ことがわかります。

全人類にとって最適化する、ということは困難でしょうし、発表内容を拝見する限りでは、そもそもすべてをカバーすることをゴールに据えること自体が違うのだろう、と感じました。ただ、バリアフリーの考え方のように、可能な限り多くの人が色覚の差を感じないように努力することは必要です。

先のオリンピックパラリンピックで話題になったピクトグラムのように、カラーについても「誰が見てもわかる、伝わる」形が求められていること、必要だということを認識していきたいものです。

。。。

「作業の経緯」の項の下に「謝辞」があります。

謝辞まで読まれた方ならわかると思いますが、冒頭の「神田川」の話しは、ここが発端です。謝辞の文中にあった、挿話から、文章を拝借します。

このプロジェクトは作業チーム内部では神田川プロジェクトと呼ばれています。「神田川」という歌の2番で、「あなたはもう捨てたのかしら/二十四色のクレパス買って/あなたが描いた私の似顔絵/うまく描いてねって言ったのに/いつもちっとも似てないの」という歌詞があります。彼氏が買っても色を間違えにくいクレパスのようなセットを作ろうという企画です。

これを読み、久々に神田川を聴いてみたくなって、かぐや姫や風について改めて調べていたところ、

なんともタイムリーなことに、今朝方、風に関するニュースが配信されていたのです。

こういうのを虫の知らせとでもいうのでしょうか。突然の訃報に言葉が見つかりませんでしたが、風の中でも私が好きな曲の歌詞からnoteを書くことで、改めて風の作品にスポットが当たるといいな、とささやかながら願っております。

海岸通を添えて。心よりご冥福をお祈り申し上げます。


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