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『ブラックパンサー/ワカンダフォーエバー』ネタバレ無し 感想・レビュー・考察

〈2度目鑑賞後、加筆修正しました〉

【ストーリー】
ワカンダ側、タロカン側、アメリカ側で話がよく行き来するけど、前作ですら解説を見て理解できたような自分でも、何が起きてるのかスッと入ってきた。
お涙頂戴に走りすぎず、ヴィブラニウムを巡るサスペンスのようなドラマ展開に気がつくと繋がっており、恐怖と不安に揺さぶられる間にふと悲しみが影を落とすという、リアルな喪に服す描写のバランスが良かった。そう、現実世界でも人が亡くなったら意外にバタバタして、その隙間や偶然で悲しむものかもしれない。
喪中を好機と捉えて攻め込まれる不安と怒りに、もはやワカンダ評議会メンバーは我を失い、やがて加熱しすぎた正義へと走る。そんな中、意外なキャラが最も平和的な視野を持っているのは、やはりその立場からか。前作を見ていないと、そのキャラの立場が分からず、イマイチ腑に落ちない人もいるかもしれない。
2度目鑑賞すると、根底に伝統とテクノロジーという対立軸があったことに気がつく。映画が始まって最初のセリフに注目。そして最終的に、テクノロジーに逃げるように助けを求めていたシュリが、最後に伝統を受け継ぐような描写も、孤独の中で1人自分の出自の伝統に向き合うようで良かった。

総じて最近はクロスオーバーに甘んじて、ストーリーは手抜きのMCU作品が目立つので、ワカンダ内で完結する規模のサプライズがあったのも好ましい。と言うかそれが1番の救い。個性とその裏付けになるドラマがあってこそ、クロスオーバーなのだ。(目を覚ませマーベル)

【アクション】
敵の拳をスーパースロウかつ超ズームアップで撮影し、拳が腹にめり込む様子を観察するように映す。そのシーンだけで今作は◎。前作はカポエラみたいに踊りのようなアクションが多かった挙句、フルCGで決闘して戦いの恐怖が無かった。このシーンだけで、よくある人が吹っ飛ぶパンチにリアリティを感じた。恐怖とは違うが説得力はあった。ただ、ハードルを上げた視点で言えば、そのくらいだった。
2度目観ると最終決戦はとても短く、致命傷を食いながら復活してるとか、決め手の一撃が単純にダサいとか、残念な点も見つけてしまった。

【苦言】
とある人気キャラが感情的すぎるし、その闘い方も大変化して良さが消えた。魅力が死んだ。
2度目鑑賞後、ちょっと言いすぎたかなと反省。タイマンも描かれ、笑いも挟み、めちゃくちゃカッコいい姿も沢山ありました。
その後釜として芯があり、貌の力がすごい新人に期待するが、あのキャラを超える魅力は無い。

【ややネタバレ】
個人的に決着が斬新だった。ジョーカーやサノス、キルモンガーもそうだけど、“悪役にも事情あり”型の、リアリティあるバックストーリーで悪の所業に説得力を持たせるストーリーは近年多いが、彼らは最終的に勧善懲悪の脚本の餌食となる。ヒーローは常に善なのだ。しかし今作は二者が衝突を得て、互いに狂ってると解る。それまで、互いにマトモなつもりなのだ。
(ここに2020年暴徒化したアメリカの分断を重ねてしまうのは、ブラックと単純に線引きしてしまってるようにも思うが、どうだろう)
話を戻すと結末スッキリする形ではないので好き嫌い分かれそう。そして決戦が終わり、狂気の怒りから目覚めて静寂の中に身を置いた時、改めて込み上げる喪失感。これもリアリティを感じた。1人静かに喪に伏すシュリ。Rihannaの“Lift Me Up”はリズムもないバラードだが、それが想像以上に馴染んで驚いた。 





【ネタバレ考察】
アメリカ:どうしてもヴィブラニウムを手中に入れたい欧米諸国代表、ヒーローをスカウトして回るヴァル、スカウトされた奴ら

彼らとワカンダ&タロカンで戦いになるのが『サンダーボルツ』となるんだろう。https://theriver.jp/thunderbolts-casting-d23/ 

あとヴァルの顔が(≧∀≦)完全にこれだった。

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