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友達は恋人の下位互換じゃない――映画「マイ・インターン」を見た

アマプラで、映画『マイ・インターン』を見た。昔見た動画でおすすめされていたので、気になっていたのだった。

仕事ができるけどフルスピードで周りを置いていって、ときに自分すら振り落としそうになるジュールズのもとに超年上のインターン・ベンが来て、交流するうちにリラックスすることを知り、落ち着いて自分の問題を見つめなおすことができるようになった、という話だと思う。

仕事もプライベートもカバーした友達

ジュールズに必要なのは新しいCEOじゃなくて、気持ちを落ち着けてくれる友人だった。
彼女の主戦場はビジネスだけど、ビジネス面でのサポートではなく、プライベート面でのサポートが必要だった。

思えば彼女には、家族のほかに悩みを相談ができる相手は描写されていなかったように思う。会社の仲間たち、ママとすらそういう話ができる距離感じゃなかった。
そういう状況で、家庭内に問題が発生したとしたら、きっとだれにも相談できず抱え込んでしまう。
だけどジュールズにはベンがいてくれた。会社での彼女の働きぶりを知り、私生活もある程度知っていて、人生経験豊富で、驚くほど気が利く友人が。

年の差が親子ほどある二人でしかありえない友情がすっごくキュートで、温かい気持ちになり、いとおしいと思った。

会社に親友がいるってどういう感じなんだろう。たまーに「楽しそうだな」と妄想するが、いまだに実現したことはない。
会社の悩みってコンプライアンスとかもあってあまり友達に話せる感じじゃないので、それが話せる関係はおもしろいかもと思った。あと仕事中に雑談できる。

恋人はすべてを超越した関係性じゃない

仕事に行き詰った社会人女性を救うポジションとして「恋人」があてがわれるパターンはたぶん少なくないと思う。(あまりエンタメを吸ってきたことがないので分からないけど)
私はそれに反感があった。自分自身が恋人いらねーと思うタイプだからそう思うのだと思う。やたらと「恋愛はすごいぞ。すべての悩みが吹っ飛ぶ万能薬だぞ」と神聖視される理由がわからなかった。
その一方で「ほーん。恋人ってのはすべてを超越した関係なのかなぁ。そりゃすごいや」という思い込みもしっかり育てていた。

でも、『マイ・インターン』を見て、「あっ、恋愛ってべつに最上の関係性じゃないんだなー」と思うことができて、うれしくなった。あっかんべーの気持ちのうれしさである。

たとえパートナーがいようと、そのパートナーとのことで悩むし、むしろ重たい関係性だからこそより重大な悩みに発展する。「お墓にひとりで入ることになるのかしら」とかそういう人生レベルのでかい悩みに。

でもそういうときに支えてくれる存在のひとつとして「友達」がいる。
一般的に友達は恋人の下位に置かれがちだ。でも絶対に下位じゃない。同じくらい重要な存在なのだ。別々の役割を持っているだけだ。
私の価値観に置き換えると、ステーキと寿司だ。どっちもこの世からなくなってほしくない。

関係性って人の数ほどあって人の数ほど重さがある。友達とか恋人とかのラベルをはる基準も違う。人間のそういう微妙な部分がわかるたびうれしくなっちゃうな。関係性オタクだから。

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