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水仙花の夜

座敷から座敷へ行くうちに皆の着物が黒い事に気がついた 

天井からぶら下がった電球が畳上に茶箪笥の影を落としている。

太い柱にぶら下がる時計の振り子の影が右に左に揺れて 畳の上を行ったり来たりしている

座敷を先にまた座敷があった 

畳の上に硝子の瓶に入った水仙花が水に沈んでいる

隣座敷で時計が鳴り始めた

眼を上げた 水仙花の入った硝子瓶は座敷一杯にあった これを葬る事にこの時初めて気がついた

 

 

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