同人誌の装丁覚書③　鏡の中に映るあなたはだあれ？

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同人誌の装丁覚書（マガジン）

はじめに

今回は前回記事で予告したとおり、2018年3月に印刷した本についてです。

トレペカバーができるなんてプリントオンすご～い！　と記事①でひしひし感じたわたしは、プリントオンのHPを定期的にチェックするようになっていました。セットやオプション、特殊装丁のページを眺めて「こんな本が作れたらなあ」と想像する日々は楽しいことばかりです。

その中で特にわたしが気になったのは、このレインボーペーパーという光に当てることで虹色にきらめく特殊紙です。わたしの説明よりプリントオンのページを見てもらう方が早いのですが、CMYK印刷と白印刷を上手に組み合わせることで、虹色に光る部分と光らない部分を分けてデザインを効果的に魅せることが可能となります。

以前からEXTRAを中心にFateシリーズで二次創作を続けていたわたしは、エリザベート・バートリーとカーミラの姿の違いに着目して彼女の生前の話や、それを踏まえたカルデアの彼女達の在り方を書けないかな？　と思っていました。

二人の対比の表現として、表1にエリザベートの姿が映った鏡、表4にカーミラの姿が映った鏡のイラストを配置するのはどうだろう？　イラストを依頼した青歩さんとそんな相談をしつつ、以下の本ができました。

仕様

▼本の仕様（A6文庫／全64ページ）
セット：文庫本セット　28～96頁まで
カバー：レインボーペーパー　CMYKフルカラー+白印刷　マットPP／箔押し加工金箔50cm²
表紙：コートカード180kg　モノクロ印刷　PPなし
本文紙：淡クリームキンマリ72.5kg
遊び紙（前のみ）：ミランダ　しんく
イラスト：青歩さん

実物写真

印刷するとこんな感じ。

エリザベートの本の装丁(noteに参考として上げる用) pic.twitter.com/gLOFw7LE8G

— 𝘵𝘰𝘤𝘰 (@tococoon) October 23, 2020

写真だと大分わかり辛いので動画を参考にしていただきたいのですが、楕円形の鏡の部分以外を白印刷してもらっているため、鏡に映ったエリザベート／カーミラだけが薄ぼんやりと虹色に輝いています。
エリザベートの頭上には金のニンブス（光輪）が箔押しされており、実際に本を手に取って光に当てながら角度を変えまくるとそこも輝きます。二人の着ている服が赤～ピンクで派手なのもあってとにかく可愛い。
こちらもCMYK用に変換しないまま入稿したので、元のデータと比べると色味が若干異なっていますね……赤み、黄みが強め？

カバー下は基本的にカバーのイラストの流用ですが、鏡の中のエリザベートはいません。（裏表紙のカーミラはいる）「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰？」の英文をそのまま流用。
結構わかりやすく傷がついちゃってますが、やはりPPなしだとこうなりますね……。

遊び紙のミランダはこんな感じ。なるべく実際に見た時の色に近い加工をしたつもりです。血みたいな色だけどラメがギラギラしていて可愛い！　エリザベートのイメージにぴったりでした。

本文。多分わたしの同人誌史上一番ゴージャスです。
この本までWordでデータ作成していますが、ヘッダーとフッターに枠の画像を埋め込むのがひたすら面倒だった記憶があります。これ章ごとにちゃんと枠の画像違うのでお手に取ってくださった際にはぜひご覧ください。
多分本文フォントは以前に引き続いて筑紫Aオールド明朝pr6N。14行で組んでいますが、15～16行でもよかったかなあ。
あと、この本あとがきを書くのを忘れて入稿してしまったのがもったいなかったな……と後悔しています。あとがき不要論、めちゃめちゃわかるんですがわたしは普通に作品外で蛇足語りまくりたい人間なので……

感想まとめ

・レインボーペーパーと箔押しを組み合わせることによって、印刷して手に取ったときの喜びが倍増
・特別感ある一冊ができた
・やっぱりRGB→CMYKにするときはちゃんと色味調整した方がいい

以上です。次からは本文データを一太郎2017で作成しているはずなので、本文の組版についてももうちょっと言及できたらいいな……。