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やっぱおれ、アルデンテじゃなかったかも

単身赴任で一人暮らしが始まってから、節約のために毎日スープ弁当を作っている。朝起きて、着替えて、布団をたたんで、洗濯機を回して、料理を開始する。なんの迷いもない毎朝のルーティン。材料を切って、水を入れて、調味料を入れて煮るだけ。一応レシピ本は持っているけど、3種類のベースとなるスープを決めて、毎回材料や味付けを変えたりしてローテーションしている。熱々のスープをスープジャーに入れて、お好みでコショウをかけたりして完成。余ったスープは熱を取って冷蔵庫に入れ、夕飯に食べる。

朝ごはんは目玉焼きと納豆、チーズとヨーグルトそして梅干し。夕飯時にはスープと一緒に母親が持たせてくれるお惣菜をつつく。そんな毎日。
職場の部下から「毎日自炊なんてすごいですね!」なんて言われるけど、朝にサクッと作ったスープを昼と夜に食べてるだけで、「すごい」なんて言われるようなことじゃない。私が自炊できるのは、あんまり食べ物に拘りがないからだと思う。歳を重ねるごとに小食になってきていて、主食となるお米や麺などの炭水化物はほとんど食べなくなった。それでもたまーに麺が食べたくなるときがある。そんなときは、夜のスープに茹でたパスタを入れて食べたりしている。トマトベースのスープなんかにはパスタがぴったり合う。

パスタは学生の頃から自分でよく作って食べていたので、パスタの茹で具合は「アルデンテ」と決めていた。時間をきっちり計って、ほんの少し芯が残っているところでお湯から上げる。程よい弾力が残ったパスタはやっぱり美味しい。

先日、仕事から帰ってきてパスタが食べたくなったのでパスタを茹でていたが、その間にnoteの記事を読むのに夢中になってパスタのことをすっかり忘れてしまってパスタを茹ですぎてしまった。ああ!しまった!と思っても時すでに遅し。仕方ないのでいつもよりも太目でブヨったパスタをスープに絡めて食べてみた。

アッ、これ美味しいわ。。。

思わず声が漏れてしまった。これ、なんだか懐かしい味だ。記憶を辿ったてみたら、これは実家で食べていたパスタの味だったことを思い出した。


福島の田舎育ちの私は、大人になるまで専門店でパスタを食べたことがなかったので、パスタと言ったら母親が作るブヨブヨになるまで茹でられたパスタに缶のミートソースをかけたものだった。うちの母親が料理が得意ではないことは別な記事で書いたことがあるが、比較できるパスタを食べたことがなかった私にとっては、このパスタ、いやその時は『スパゲッティ』と呼んでいたものが唯一のパスタだったのだ。

大人になって「パスタはアルデンテが一番おいしい」という情報を入手してからは、パスタをアルデンテ以外で食べるという考えが浮かばなかったからずっとアルデンテで食べていた。でも、何十年かぶりに食べたブヨったパスタは思いのほか美味しかった。何と言うか、身体に優しい感じ?どっちかって言うとラーメンとか、うどんに近い感覚。たぶんこれが日本食としての『スパゲッティ』なのだ(わが家だけか)。


そのことに気が付いてからは、パスタは芯が無くなるくらいしっかり茹でている。昨日も茹でながらnoteをチェックして、見た感じからすでに太めに育ったパスタをトマトスープに合わせて食べた。やっぱりこれだわ。優しさ溢れるブヨパスタ。


もちろん、パスタ専門店アルデンテのパスタは美味しい。でも、私が自宅で食べるパスタは今後もブヨった『スパゲッティ』が良い。食感も優しいし、消化も良さそう。

おれはアルデンテじゃなくても良かったんだなあ。四十にして、原点回帰。

今週もnoteを読みながら、ゆっくりじっくりパスタを茹でたいと思う。


おわり

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