見出し画像

『ムダの美』~人生に無駄なことなんてひとつもない

先日、都内を車で移動中に、たまたま見かけたのは、イタリアの高級スポーツカー・フェラーリの車列。東京の雑踏、渋滞に似合わない「異次元の」フォルムが、カラーが並んでいるのを見て、

か、か、かっこいいいいいい!!!

感動、あやうく感涙しそうに。
1970年代後半の「スーパーカーブーム」(ほとんどの人は知らないよね)を、「夢見る少年時代」に接していた私としては、まさに”夢の世界”なのです!

当時キラキラの目で「スーパーカー」を見つめていた少年が、40年後オトナになって、ふと思ったことは...

「現実的に」ありか?という自問自答

憧れのスーパーカーを見ているのは、日本車・ミニバンを運転している自分。「かっこいいわあ」と感動している一方、その後アタマをよぎるのは、現実的な、問い。

-あんなに車高低かったら、運転しにくいよな、きっと
-家族4人で乗るのは大変そう...
-燃費悪そうだな...今ガソリン高いし

フェラーリの燃費は、「1リッターあたり約4キロ」くらいだそう。「やっぱりな」半年前にウチに来た新車のハイブリッド車「1リッターあたり約18キロ」の車に乗っている私は思うわけです。
もちろん、現実的に「高級スーパーカー」を買える財力は到底ないわけで、「買わない理由」を探す必要は、まったくないんですけど。

で、その後、ふと思っちゃったわけです。

-オトナになって、ちょっとヨゴレちゃったかな...

カッコいいものはカッコいいと感動。それだけでいいじゃん。反省。
…私のヨゴレ具合はどうでもいいのですが、

フェラーリです。
「燃費」「乗り心地」「大きさ」を考えたら、ムダなのかもしれない。ムダだと思う人もいるでしょう。でも、そのムダをそぎ落としたら、フェラーリでなくなっちゃう。キラキラ少年の憧れでなくなっちゃう。「オーナーであることのステイタス」が消えちゃうわけですよね。だからフェラーリはあれでいい。ムダではなく、それを遥かに超えた「優雅」「美しさ」であるわけで。

「効率化」のウラガワにあるもの

話は飛びますが、ツール(多くの場合、デジタル系)のうたい文句でよくあるのが、
「このツールを導入することで業務が効率化され、ムダな時間を減らし、そこで生まれた時間で想像的・クリエイティブな業務ができるようになります!」
心躍りますよね。このツールを入れるだけでクリエイティブなパーソンになれるかも!って。
…少し冷静に考えてみましょう。私の周りでも高い期待をもって「ツール」導入した人もたくさんいるし、私自身も導入を決めたこともあります。でも...
とても残念なお知らせなんですが、多くの場合、「クリエイティブなパーソン」にはなれなかったんです。なぜか。

時間が産みだされて、そこで「クリエイティブ」になれる人は、『時間がなくてもクリエイティブ』だった人なんです。そしてツールを使いこなせる人は、導入前の「ムダ」を徹底的に経験したことがある人なんです。ムダを知っている、たくさんのムダを経て、「ムダをなくそう」と考え抜いた人なんですよね。
それがなくて、「ツール」だけで解決することは、稀なケースだと思います。「解決すべきムダ」を知っている人、じゃないと、「効率化」されたかどうか、も実感できないですしね。

よく言われる言葉にも注意

「人生に無駄なことなんてひとつもない」
「すべての行動は、何かに繋がるもの。無駄なことこそ価値がある」
聞いたことがあるでしょう。私もこれらを心の支えにしてきたこともあります。が、
50を超えて、振り返って見ると、これらの”金言”には、前提条件があることが(ようやく)わかってきました。それは、
・これまでたくさんの「無駄」を経験した人が言うから価値が出る言葉であること
・取り組んでいたときその瞬間は「無駄」だと思わず、一心不乱に取り組んでいたこと
・「無駄」よりも「楽しい」が上回って、脇目も振らず集中して取り組んだこと
だと確信します。「無駄かもしんないからテキトーに」取り組んだものは、やっぱり「無駄」になっちゃう可能性が高い。
…って、思います。自分も含めた周りのいろんな「事例」を見て、ようやく気づきました。

年齢を重ねると、「ムダ」をするのが怖くなります。そもそも億劫になっちゃいます。「ムダかもしれないけど、今やるべきこと」を夢中でする、これは若い世代の方が取り組みやすい。

これから未来へたくさんのことを経験する世代のみなさま、たくさんのムダを経験してください。そして経験した上で、将来、「人生に無駄なことなんてひとつもない」と言ってください!


※学生の頃、東京から宇都宮に餃子を食べにいく「だけ」のために、夜間車を駆り出したことを、急に思い出しました。これも、無駄じゃない、無駄じゃなかったはずだ...


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?