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賢者と僕の生存戦略

雪不足とコロナウイルスのWパンチで久しぶりに暇な時間ができた。暇なのでYoutuberを眺めていて、僕の常識は相当ズレているのかなと感じたのでそのズレを整理してみた。

Youtubeではホリエモンをチャンネル登録しているせいか、お勧めにたくさんビジネス系の動画が上がってくる。暇なので2倍速でラジオのように聞いてみると、ほとんど全てのチャンネルが「大きくすること」「展開すること」「爆速で成長すること」「認知されること」にフォーカスしている。

田舎の戦略

どうも山形の田舎で商売している僕と東京で流行しているビジネスとは、感覚がだいぶ違うみたいだ。

僕が宿を営んでいる山形県の月山というところは、雪が4mくらい積もりほぼ毎年雪崩れで道が通行止になる。5年前は1ヶ月くらい国道が通れなかった。冬だけじゃなくて七年前の大雨の時にはトンネルで土砂崩れが起こり、3ヶ月国道が止まった。そうなると客は当然来なくなる。

冬は雪が雪害レベルで降り、大雪の日は用事があってもなるべく出歩かないようにしているし、お客さんがいる日でも吹雪けば仕事はキャンセルになる。山小屋ほどではないが、天候と自然に左右される条件で仕事をしているので、条件が悪い日は残念だとは思うがお休みするしかない。

山のガイドで死亡事故なんか起こせば一発で倒産である。条件の悪い日は売り上げよりも命を取る。リスクは確実に都会よりも多い。

何に合わせて経営するのか

そういう条件で会社経営していると絶好調で売り上げがピーク時の状態に合わせて運営するのではなく、条件が悪い状況でも生きていけるように色々なことを守りながら仕事をするようになる。

そうすると全然爆速で成長はしないし、大きくはならないし、展開しないから認知もされない。でも、僕らの成功の第一条件は生き残ることだから、今年も生き残れたら成功である。

都会のイケイケビジネスの人たちから見たら随分低い志だと思われるだろうが、こういう場所で商売するにはまず続けることが何よりも大変なのだ。今年はありがたいことに親父の代から創業して40周年になった。鳴かず飛ばずの40年だけれども、40年も続けられたのだから大成功だろう。

何が一番大事なのか

翻って最近のニュースを見てると、オリンピックはやるのが前提とかレバレッジを効かせた設備投資をした企業は営業を続ける必要があるとか、あぁ都会の人たちは絶好調に合わせて仕事をしているんだなぁ、とつくづく思う。

今年は雪崩が起きて道が崩れたのと同じで、不可抗力でお客さんが来なくなるだろう。そうしたら畑もあるし、工事現場の仕事でも山の仕事でも金を稼ぐ手段はなんでもある。こっちはなんでもやって生き残る覚悟はとうの昔からできている。

命の優先順位

インフルエンサーとかビジネスリーダーとかが提唱している爆速系の話は、どこか自分に関係ないことだと思っていたのは、実はこういう所なのかもしれない。

言うまでもないがファーストプライオリティーは命だ。経済活動が生命に優先されるわけはないし、命を危険を晒してまでやる仕事は「前提条件の設定」が間違ってるんじゃないの?と思ってしまう。

会社の内部留保を投資に回せとか、経済を回すために金を使えとかいうけれど、3年分の蓄えがない会社は健全経営とは言えないと昔の賢人も言っていた。

成功の定義

そうすると、どちらが賢人なのか、どちらが長生きしてどちらが勝つのか、頭の悪い僕にはわからなくなってくる。そもそも勝ち負けで仕事してないのでよそが有名になろうが調子が良かろうが関係ない。大した稼ぎもないけれど今年も生き残れて嫁と子供が満足に食っていければ、僕にとっては大成功なのだ。

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