見出し画像

2月25日(金)から公開の映画4本

「GAGARIN/ガガーリン」

まずはGAGARINE/ガガーリン
2024年に開催されるパリ・オリンピックのために2019年に解体されたロシアの宇宙飛行士の名を名付けたガガーリン団地。そこに住んでる16歳の少年ユーリが、立ち退き、解体せまる中も出て行った母親との思い出のこの団地に一人居残りなんとかしようとする姿を描いたお話。

現実の厳しさとファンタジーが入り混じった不思議な感覚を味わえる話でした。

で、団地に住んでた人にはある意味たまらへんし、日本の現在の団地や公団住宅も直面している問題とか、東京オリンピックでの有無を言わせへん開発とも被っていろいろ考えさせられたり。

「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」に革命女子で出てたリナ・クードリがこれまた不思議なオーラを発してました。後、劇中流れる歌が、なんかフレンチ演歌みたいで印象に残ったなぁ。

「シラノ」

そしてシラノ

エドモン・ロスタンの戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」をミュージカル化。日本でも三船敏郎主演の「ある剣豪の生涯」(面白い!)や新国劇「白野弁十郎」(島田正吾の舞台見たかったなぁ)があるほどおなじみというかストーリーが素晴らしい作品。
詩人として言葉を巧みに紡ぎ、剣術にも長けていてまさに文武両道なシラノ。が、彼には大きなコンプレックスが!それはデカい鼻。ゆえに昔から憧れ、慕うロクサーヌには初めから叶わぬ恋と諦めら陰日向となった存在に徹してる。
そんな彼女が恋をしやるんやけど、それはシラノと同じ部隊の新兵クリスチャン。彼もロクサーヌのことが好きにならはります。けど、口下手やし文才もないので、“しょうないなぁ”とシラノは彼に代わって詩や手紙を代筆することに。けど、しっかり自分の気持ちをしたためて・・・。
その言葉に魅了される彼女を複雑な思いで対峙するシラノは、はたして・・・。

今作ではシラノをデカい鼻の持ち主から小っさい人にしたり、クリスチャンの人種を変えたりと多様性を意識してる設定に。

でもシラノ役のピーター・ディンクレイジにしたのは正解。素晴らしい存在感を出してはります。

ミュージカルとしては正直、真面目なルックや地味なビジュアルが個人的には物足りなさを感じたけど、シラノの紡ぎ出す言葉や曲は良かった~。

「ライフ・ウィズ・ミュージック」

続いてライフ・ウィズ・ミュージック

顔を見せへんアーティストSiaの初監督作品。暗い話やけどミュージカルの時だけは明るい「ペニーズ・フロム・ヘヴン」や、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を思い出したり。

Sia自身がかつて経験した薬物やアルコール依存症の果てに辿り着いたのは友人と音楽への愛やったってことをテーマに、アル中、リハビリを経てシャバに出たズーが、祖母が急死したことによって、彼女と暮らしていた妹のミュージックと同居することになったことで改めて自分自身と向き合う話。ズーのルーズさと意志の弱さが自閉症の妹との生活に問題が次々と起こるねんけど、そこに以前よりミュージックを気にかけていた隣人のエボが手を差し伸べてくれるんやけど、ズーはまたしても信用を失っていくねん・・・。

ミュージカルシーンの映えな感じは本当に可愛い。そこで見せてくれるコンテンポラリーダンスも素敵。Sia自身が書き下ろした12曲もメッセージ性が込められているもののとてもポップでエモーショナル。

ズーを演じるケイト・ハドソンが「ナイン」の時に歌い踊ってた「シネマ・イタリアーノ」以来の大熱演してはりました。

「ゴヤの名画と優しい泥棒」

最後はゴヤの名画と優しい泥棒

1961年に起こったロンドン・ナショナル・ギャラリーでのゴヤ作 「ウェリントン公爵」肖像画盗難事件。開館してから200年近い美術館で、初めての盗難事件だけに世間は大騒ぎ、警察は躍起になって犯人を捜すんやけどなかなか見つからへん。実はその犯人、年金暮らしの、正義感強すぎて暴走しがちの、嫁はんに頭の上がらへんお爺ちゃんやった!?

これが実話だとは!うん、面白かった!そしていかにもイギリス的皮肉が満ち溢れ、しかもウェルメイドな仕上がり。

後半の裁判のシーンは主演のジム・ブロードベント(「ムーランルージュ」)の飄々とした演技と弁が相まって説得力のある、誰もが納得させるシーンが繰り広げられてます。そんな彼に苦労させられる妻役のヘレン・ミレンもたまらんくらいうまかったです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?