詩 「煙草」

疲弊した鴉の鳴き声が
静寂した夏夕空に
妙に響き
殆ど焼け焦げた様な色の
古本を捲る手が止まる

夏陽の監視を逃れて
気怠そうな夜街を
無目的に
無意味に
無責任に
徘徊する

頬に垂れた汗滴を
薄手の袖口で
軽く拭けば
仄かに煙草の匂いが香る

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