詩 「靄が掛かる」

一歩踏み出すごとに
靄が濃さを増す山道
視界の殆どはぼやけ
足元さえも覚束無い
歩いて来た道を振り返るも
此方も靄が掛かり
何ひとつとして
正確に認知することはできない
改めて前を向くが
最早今向く方が前なのかも
分からない
身体と丁度同じ幅の穴に
すっぽり嵌った様に
一歩分踏み外せば崖のこの道で
身動きを取ることは出来ず
靄が消えるきっかけを
ただひたすら待つ

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