詩 「哀しみ」

瑞々しくふっくらまるみを帯びた哀しみから
透明の滴が一滴ずつ暗く静かな海へ滴り落ちる

海に落ちても
溶け込むことなく
一滴の滴として
永久的に
海を漂い流れる

哀しみは
灼熱の夏陽や
地を這う熱風や
鮮明な緑の反射光に
熱されて

少しずつ枯れながら
終わりを閑かに待つ

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