見出し画像

砂浜を歩く

捨てられた空き缶や
名前の知らない貝殻や
不思議な形の流木を
拾っては袋に入れ拾っては袋に入れ

陽は地平線から昇り
水平線へと沈みゆく

空と海は同じ青色なのに
空と海の境目が分からなくなることはない

波に乗って一本の瓶が流されてきた
蓋を開けて中身を覗くと便箋が入っていた
海石で瓶割って便箋を取り出した

便箋を開くと見たことも聞いたこともない
遠い国の言葉が書かれていた

一度便箋を閉じて海風を深く吸い込む
目を閉じて体内に閉じ込めた海風をゆっくり吐く

便箋をポケットに仕舞い海に向かって叫んだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?