詩 「穴底」

魚が海を泳ぐ様に
砂地を歩く

砂色の身体は
砂地に溶けて
鳥の眼には映らない






視界に映る物事や事象
或いは自身の思考や行動
あらゆる事が
輪郭を油性ペンで縁取られて現る

ただひとつ
夢想や幻想の範疇をも超えた
穴を除いては

暗い穴
深い穴
狭い穴
冷たい穴
正しい穴
苦しい穴
言葉を奪う穴
感情を鎮む穴
希望を絶つ穴

穴底から望む一点の光が
少しずつ消えるのを
見つめる

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