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週末のBloombergより

◆今週はHigher for longerの流れが一変して米金利が50bp程度急低下。いい塩梅のソフトランディングが進捗する中で来年5月あたりからの利下げが再び現実味を帯び(織り込まれ)始めている。

◆指標が弱い上に、FEDと米財務省が長期金利が暴騰しないよう協調して(?)目配りし始めたことが大きい。

◆10年5%の国債利回りは、当面の金利上限(押し目買いメド)として強く意識されやすくなり、金利がどこまで上がるかわからない不安は掻き立てられにくくなった。

◆金利はまた上昇するかも知れないが、5%近くの国債金利は、年金生活者など米国内個人投資家が利回りをロックインするには非常に魅力的。大口機関投資家に頼るのではなく、そういった買い手の裾野を広げるべき。

◆米クレジットスプレッドはIG:125/HY:406bpと引き続きタイト。無リスク金利が急低下する一方で、景気減速とリファイナンスコスト上昇による逆風が吹くため、クレジットの弱いところからスプレッドが拡大しやすい局面。

◆但し、万一の際でも回収率が高そうなハイイールド債で価格が80くらいのものをうまく拾えれば(少なくとも株よりは)かなり魅力的な投資になりうる。

◆需要が急減するようなハードランディングはもはや全く織り込まれておらず、もし起これば企業倒産や業績悪化が急増し、クレジットスプレッドも急拡大しそうだが、これだけ金利を上げてあるので、利下げによる政策対応余地はたっぷりある。


◆今回の雇用統計は「皆が長く待ち望んでいたヘルシーな正常化がやっと来た」という感じ。但し、UAWのストの影響で3-4万人低く見えていることと、インフレ目標2%の達成にはまだまだ遠いことには注意が必要。

◆コロナや地政学などの影響で過去のモデルがほとんどワークしていないので、FOMCもミーティング毎に新たな判断を慎重に積み上げていくしかない。

◆長期的成長を確保する上では、女性の子育て負担を減らしてよりポテンシャルを発揮できるようにするべき。高品質の子育ては高コストになりがちで、一般家庭では負担しきれないので政府がうまく介入する仕組みが必要。うまく投資をすれば有望産業になりうる。

◆企業業績は堅調。最近の長期金利上昇や地政学環境の悪化を受けて企業の業績見通しが慎重化したのは自然で、むしろ今後(Q4)のポジティブサプライズにつながりやすくなった。

◆UAWの妥結でBIG3のコストは車1台当たり900ドルくらい上昇する(マージンを1%くらい押し下げる)が何とかmanagableな範疇。

◆労組のないテスラや日本車メーカーに対して競争上不利になり、メキシコなどへの工場移転を後押ししそうだが、昔のような潤沢な年金/ヘルスケアに戻ることなく、リストラの柔軟性を確保できたことは経営側にとってもプラス。

◆不動産バブル崩壊+多くの国からのデリスキングにより、名目GDP成長率は20%⇒6%に激減。世界の成長の1/3を占めていた中国の経済的奇跡は終了。但しグリーン化や自動化/デジタル化は強い成長を示している。

◆今や中国がデフレ的/日本がインフレ的と基調が変化しており、マクロ的リバランスが必要になってきた。デフレで長年抑圧されてきた日本の企業や不動産の価値をうまく引き出せれば大きなチャンスになる。

◆インドは人口動態の問題がない上、近年は海外からの投資で長年の課題だったインフラ整備が進み、輸出もかなり増えてきている。割高な面もあるが、中国からの分散(リバランス)先としてやはり最有力。

◆長期金利上昇で利上げが減らせるというのは誤解。財政悪化や強い経済成長(投資意欲)が長期金利上昇の理由なら、政策金利を低くしたままでいいという理由にはならない。

◆株にしろ債券にしろ、上に下にとこんなに動いてしまうことは金融政策として好ましくない。中銀と市場のコミュニケーションにはおおきな改善余地がある。


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