週末のBloombergより
◆長期金利の上昇が続き、債券市場がFEDの仕事を自動操縦でこなしてくれる展開が続いている。
◆長期にわたるイールドカーブはいずれ正常化するが、ブルスティープでと思っていたらベアスティープでそうなりそうになってきた。このレアな展開に意表を突かれた債券投資家の抱える損失が膨らんできている(ただし、社債はスプレッドのキャリーが大きい分だけ国債比かなりマシ)。
◆11月の四半期リファンディングや今後の政府閉鎖リスクに向けて、米国債入札における需給悪化もはっきり目に見えるようになってきており、不安を募らせる。
◆中東情勢の悪化で原油価格急騰となれば、今の景気の足腰の強さを考えるとまずインフレということになるので、債券市場にとってはいっそう嫌な感じになる。
◆過去のQEで供給過剰となった市場流動性はまだまだQTで吸収する必要があるものの、本局面で銀行に自己資本の更なる積み上げを強要すると、クレジット環境は一気に悪化しかねない。
◆企業債務は過去の低金利調達の恩恵をまだ受けており、今のところ優良ネームのリファンディングが多いこともあり、新発市場に特段混乱はみられていない。
◆一方、一般消費者はクレカ金利上昇などで既に金利上昇の影響を受けており、そろそろ消費の減速が始まるかも知れないので注視すべき。
◆ガザ地区での地上戦は一つ間違えれば、パレスチナ人への同情だけを煽ってかえって事態を悪化させてしまうリスクがある。イスラエルとしては、ハマスに狙いを定めた攻撃と、初期に機能しなかったディフェンスの改善に徹し、act smart すべき。
◆ハマスのようなテロ組織は常に再生産されるので「地上からの殲滅」は現実的でない。
◆特殊作戦による人質の救出は非常に困難であり、現実的には囚人とのスワップ(ハマスの狙いも半分は仲間の救出にある)くらいしか手はない。
◆イスラエルには(ハマス支配ではない)パレスチナ国家との平和的共存が必要なので、それを不可能にしないよう慎重な経路選択が必要。テロリストと同じ土俵に乗ってしまってはいけない。
◆中東情勢の緊迫化でも株があまり売られていないのは、質への逃避で金利上昇が(一時的に)止まったため。長期金利(+そのボラ)上昇を警戒してFED高官の発言トーンがややマイルドになったこともサポート。
◆非常にざっくりとしたイメージで、銀行の潜在損失は自己資本の1割程度、不動産価格への金利上昇分波及度は6-7割(売り手が躊躇するので金利分がフルにバリュエーションを下げるわけではない)。
◆金利上昇に加えてウクライナ戦争の影響のせいか、欧銀の方が米銀より早く不動産から手を引いている。一方、メキシコの産業用不動産やテクノロジーを駆使してGreen化に対応した不動産は将来有望。
◆2027年までには利払い費用が国防費を上回る可能性が高いので、Higer for Longer の米財政へのダメージは結構大きい。リセッションでもないのにGDP比▲8%で走る財政赤字もサステナブルでない。
◆財政余力縮小に伴う経済成長のリスクに加えて、将来の増税に備えたTAXプラニングが企業にとって今後ますます重要になる。
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