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やっぱりそこに野球があるから

僕が人生で初めて”憧れ”という感情を覚えたその日から野球というスポーツは僕の生活の一部となった。
小学校の自由研究のテーマは日本にいても、アメリカにいっても野球だった。人生で一番辛かったときに支えてくれたのも野球だったし、仕事を始めてお客さんと仲良くなる糸口にした話題もやっぱり野球だった。

こんなにも僕の生活の中で大きな存在となっている野球というスポーツを好きになった”憧れ”という感情。
その対象だった選手こそ、当時の巨人で高橋由伸・松井秀喜の2枚看板と共にクリーンナップを形成していた番長こと清原和博だった。
三拍子が揃ったスマートさでいったら由伸だったし、頼れる不動の四番は松井だった。
それでもここぞという場面では、打席に入った瞬間から、否、打席に向かうその姿から既にここで打ってくれる、そう確信させてくれた清原。

そんな清原が薬物所持で逮捕されたのが4年前の2月2日。
そして今日執行猶予の期間が明けた。

そして公表された独占手記。
それはもう正直にそして赤裸々に今の状況、今の思いを綴っている。
そしてそれは決して明るい現状の話ではなく、今も苦しむその姿。

今は正直、執行猶予が明けるのが怖いんです。
なぜなら自分が変わったという実感がないからです。
でも世間は執行猶予が明けたら清原はいよいよ動き出すんじゃないかと思っている気がします。それがプレッシャーなんです。いきなり聖人君子になれるわけじゃありませんから。

未だに薬物の依存症に苦しむ清原。
そんな彼が薬物に手を出したきっかけにあったのはやはり野球。
引退して生活から野球がなくなったことからことからきたストレスだった。
そしてそんな彼を今救おうとしているのもやっぱり野球なのだ。

薬物所持で逮捕された2月2日は清原にとって人生最悪の日になった。
だけれど4年後。奇しくも同じ2月2日に次男が試合でホームランを打ったことで、そしてその時のバットが清原にプレゼントされたことで、その日は特別な日になった。

今も日々苦しむ清原をまたその足に立たせる、その原動力となっている思いはいつか高校野球の監督になりたいという思い。そこにあるのもやっぱり野球なのだ。

いつかまた清原のユニフォーム姿を見ることが出来るかもしれない。
いつか清原の教え子が甲子園のバックスクリーンに特大のホームランを打ち込むかもしれない。
だけれど、どんなに皆がその日を待望んでも、そんな日は来ないかもしれない。

僕は究極その日は来なくてもいいと思っている。
大事なのはその日が来るかもしれないという希望を胸に一日、そしてまた一日が過ぎていくこと。

それでも万に一でもその日が来ることがあれば僕は人目を憚らずに涙を流すだろう。

最後に僕が最も好きな清原のホームランの一つ。
松坂から打った日本シリーズでの看板直撃の一発。

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