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インクルージョン(みんな仲間ということ)

時を同じくして、
「インクルージョン(みんな仲間ということ)」に関する本が2冊出版されました。(インクルージョンは名詞、インクルーシブは形容詞です)

一冊は、TOKYO PLAYの自費出版
「インクルーシブって、なぁに? 子どもを分けない場づくり はじめの一歩」(フィリップ・ダウチ著 嶋村仁志訳)という本です。


<一部の子どもを特別視せず、「誰もができる当たり前のこと」としてできるようにすることの大切さと、すべての子どもが「歓迎される」「心地よい」「自分の居場所と感じられる」環境づくりのポイントといったインクルーシブの基本が示されています>

子どもを分けない場を具体的にどう作るのか、大変丁寧に書かれており、考えながら取り組める本です。訳がとてもわかりやすく、実用的な本です。

TOKYO PLAY は、東京都世田谷区の砧公園の中にインクルーシブな公園を作った団体です。だからこそ、この本の価値がわかり、翻訳に取り組んだのです。その代表の嶋村仁志さんは、20代からプレイワークを日本に広める活動をしていて、イギリスでいち早く本格的に学んだ日本人で、その第一人者です。インクルージョンというのは、限られた教室の中で実現するものではなく、日々の生活の中であたりまえにあるはずの状態です。それが日本には実現していません。だから、この本で、あたりまえの感覚、を身につけてほしいと思います。

書店には出ていません。こちらのウェブサイトから購入できます。
ぜひここから入って下さい。

もう一冊は『差別のない社会を作るインクルーシブ教育 誰の言葉にも同じだけ価値がある』(野口晃菜、喜多一馬編著 学事出版)です。

編著者の野口さんは、私の編著である『教育相談』(学文社)に特別支援について書いて下さった方で、日本では特別支援の考え方をリードする若手研究者であり実践家の第一人者です。学校におけるインクルージョンの実現を目指して、多くのメンバーがこの本を執筆しています。日本で具体的にどうすれば、インクルーシブな世界が実現するか、そのためにどう考えて、どういう教育を進めていけばいいか、書かれています。必要なことが網羅されているので、こういうことはどう考えればいいのかな、というときに、辞書的に使うこともできます。参考文献も充実していて、それらがとても分かりやすく紹介されていて、そう、どんな人でも読めるように、と書籍そのものがインクルーシブな発想で作られています。

インクルージョンのことをご存じない方が、最初に手に取る二冊の本。
図書館で借りるより、家に置いて繰り返し確認するといい本です。
是非お手元に置くことをお勧めします。

・・・・
私がインクルージョンという英単語を意識したのは、2003年でした。
カナダのルーツオブエンパシーというプログラムの説明の中にこの単語があって、私はこの単語を「みんな仲間ということ」と訳しました。

私が1999年から一年間滞在していたカナダのトロントという都市は「セレブレイト・ダイバーシティ(多様性を祝福せよ)」という言葉を大切にしていて、広告も、白人ばかりでなく、人種や皮膚の色、性別や年齢などを多様に表現しなければならない、という決まりがありました。

当時、ソーシャルワーカー(MSW)養成をしているトロント大学大学院の客員研究員でしたので、特にそういう情報が多く入ってきていました。

学校訪問などを繰り返していると、教室の中にも、いろいろな出自、立場、特徴の子どもたちがいて、それをどうみんなでお互いに受容していくか、ということを考える授業がいろいろな教科の中に組み込まれてたくさんありました。

みんなどんな人も仲間だと感じ取る力を身につけること。
これはとても大事な力です。

今思えば、それらをもっと日本に早く紹介できればよかったと思います。
いえ、紹介したのですけれど、それを中心に活動することができませんでした。20年も経ってしまいました。日本はこの概念の理解がとてもゆっくり・・・遅れています。

もし、誰かを取り分けて排除したら、社会的マルトリートメントが起きます。とても不幸な社会になります。

私の団体、一般社団法人ジェイスは社会的マルトリートメントを予防して、子どもの養育環境を保障することを目的とする団体です。
だから、この二冊は大事なのです。
皆さんにご紹介して、お届けしたいと思います。


#インクルージョン #インクルーシブ #TOKYO PLAY  #嶋村仁志
#野口晃菜 #一般社団法人ジェイス #社会的マルトリートメント




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