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生徒も一緒に対話型授業検討会 【週刊新陽 #96】

16時過ぎ、ふと職員室から外を見ると澄川の街がピンクに染まっていました。あわてて4階まで上がっていったのですが間に合わず、雲にうっすらと色が残る写真となりました。

まだまだ雪が多い札幌ですが、すこしずつ日が長くなり、この寒さもあと少しの辛抱かなと感じ始めています。

そんな今週の新陽高校に、石川県からお客様がいらっしゃいました!

対話型の授業検討会とは

北陸大学の川村先生とは、以前勤めていらっしゃった学校の研修講師を私が受け持たせていただいたご縁。教職課程の研修の一環で、2名の学生と一緒に来札されることになりました。

今回の訪問の目的は、学生が教育実習に行く前に学校現場を知ることや、新陽の新しい取り組みを調査することなどに加え、対話型授業検討会を行うこと。

対話型検討会とは、助言や評価を言い合うのではなく、学習者や授業者として感じたことや考えたことを出し合って対話することで問題を掘りさげていくような検討会。

出典:対話型検討会ネットワーク(渡辺貴裕先生)

教員育成のための模擬授業検討会で行われることが多いようですが、今回は実際の授業について先生と生徒が検討するスタイルに英語科の植田先生が挑戦しました!

授業は英語「論理・表現」

評価するのではなくコトを捉える

新陽の単位制のカリキュラムは1コマ110分。前半授業50分+10分休憩+後半授業50分が基本的な流れです。この日は10分短縮の時間割だったので、前半の40分でまずは普通に授業が行われました。

この日のメインは、Taylor Swiftの「Red」のMusic Video(MV)の視聴。動名詞の学習につなげる導入のようです。Classroomで配信されたGoogleフォームには歌詞が書いてありますが、一部が空欄になっています。

最初は通常のスピードで、2度目はすこしゆっくりした速度でMVを再生し、空欄に入る答えを考えます。最後は英語と日本語訳の歌詞の字幕がついたバージョンが流され、曲のイメージについて共有して、今日の授業はここまで。

休み時間を挟んで、いよいよ対話型検討会。授業者と学習者それぞれがDo/Think・Feel/Wantの視点でリフレクションし、「何が起きていたか」を捉え、対話を通して掘り下げていきます。

今回は授業者である植田先生と、授業を受けた生徒の中から7名が前に出て授業を振り返りました。ファシリテーターは学生の山本さんと川村先生です。

まずは山本さんが「さっきの授業の感想は?印象に残ってるのはどこ?」と生徒に振ります。これは学習者のThink(考えたコト)・Feel(感じたコト)を出してもらうため。

最初は、初めて会う大学生や大学の先生を前に緊張した様子もあり、なかなか言葉が出なかった7名の生徒ですが、生徒が話しやすいように山本さんが問いを投げかけてくれてそれに答えるうちに、徐々に声があがるようになりました。

オブザーバーとして後ろで見守る生徒も、Do/Think・Feel/Wantが書き込めるスプレッドシートを通して対話に参加。「インスタライブにチャットを投げ込む感じで!書いてくれたら僕が代わりに発言するから。」と川村先生が言うと、Chromebookを開く生徒たち。

内容に関すること、授業の進め方、ツールの使い方など、いろいろな視点で意見がたくさん出ました。

ある程度生徒のThink・Feelが出されると、次は先生のThink・Feel。学習者の感じたコトや考えたコトは植田先生が予想していたものだったか、選んだ教材や活動の意図はなんだったか、などを話してもらいます。

生徒と先生がThink・Feelを出す流れを何度か繰り返しているうちに、Want(したかったコト/してほしかったコト)の意見も出て、ホワイトボードが埋まっていきました。

授業はみんなで作る

クラスには英語が得意、苦手、好き、嫌いな生徒、いろいろいます。それぞれが考えたり感じたりしていることを聞くことで、植田先生もいろいろ気付きがあったようでした。一方、生徒も、先生がどういう思いで授業を作っているか聞く貴重な機会だったと思います。

生徒も先生も多様な新陽だからこそ、対話によって様々な声を聴き合い、協力してより良い学びを築いていくことができるといいなと思いました。

「みなさん、いろいろ出してくれてありがとう。できる限りみんなのモチベーションが上がるように、今日聞いた声を反映したいと思ってます。すぐにやれることは次回からやります!みんなからの意見をもっと聞きたいなって思いました。みんなのニーズに応えつつ、こちらのニーズにも応えてもらう、みんなと一緒にやっていく授業ができたらと思います。」と植田先生。

検討会では、授業者と学習者が一緒にホワイトボードを囲むように並びます。教える側と教わる側というなんとなく上下があるような関係ではなく、植田先生の言葉からも感じるフラットな関係であることがこの対話のポイント。

最後に川村先生からも「授業をする(先生)と授業を受ける(生徒)、ではなく、みんなが授業を作る主体だと思ってます。自分の声で授業をよくすることができるんだと知ってほしい。」とメッセージをいただきました。

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こちらは川村先生たちによる札幌研修のダイジェスト動画です。訪問者側から見た新陽、ぜひご覧ください!

【編集後記】
この日、偶然にもオランダ教育視察旅行で出会った友人が「対話型授業検討会(略して対話検)」についてSNSで投稿しているのを発見!思わず「今うちの学校で対話検やってる!」とコメント投稿してしまいました(笑)。
彼のnoteの中に「対話検は方法だけではなくあり方(Being)が大切だ」とあります。今回、対話検が終わると同時に自然と拍手が起きたのは、生徒も先生も北陸大のみなさんも全員がフラットにそこに居たことの証だったような気がします。

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