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オランダで見つけた幸せのヒント 【週刊新陽 #86】

11月20日から26日、1週間のお休みをいただきオランダに行ってきました!

運河や風車、チューリップなどをイメージされる方が多いかもしれませんが、実はオランダは「世界一子どもが幸せな国」と言われています。その秘密は働き方や教育にあるようで、行ってみたいとずっと思っていた国の一つでした。

今号は、念願叶って訪れたオランダの学校の職員室から感じたことをお届けします。(各校のレポートは別途noteで発信する予定です。)

「世界一子どもが幸せな国」の職員室

職員室の紹介をする前に、まずオランダについて復習しておきます。

オランダはヨーロッパの北西部にある国でドイツとベルギーに隣接し、面積は日本の九州くらいです。人口は1750万人程度。北緯52度とけっこう北にありますが、先週の気温はほぼ札幌と同じくらいでした。

今回のツアーは学校視察がメインで、中高一貫校2校と小学校4校に訪問しました。

オランダでは、4歳から学校に行き始め12歳まで初等教育、12歳からの中等教育は中高一貫校が一般的(義務教育は5歳〜18歳)。なお義務教育については学校が公立でも私立でも無償です。

(出典:https://chari-kamo.com/education/dutch-edu-flowchart/)

「100校あれば100通りの学校がある。」とも言われるオランダでは、イエナプランやモンテッソーリといった教育方法や、宗教などにより、各学校がそれぞれの方針に基づき多様な教育を提供しています。また、子どもの多様性を尊重すべく一人ひとりの学びも一律ではありません。

そんなオランダで共通していたのが職員室の居心地の良さそうなこと!

シンプルで機能性が高くカラー使いが特徴的なオランダデザインが各所に盛り込まれていて、どの職員室もインテリア雑誌を切り取ったかのようでした。

イエナプランの私立小学校 Gabriel School @ Putten
公立の小学校 OBO Spoorzicht @ Utrecht
ギフテッドの小学校 De Poseidon @ Amsterdam
中高一貫校 Amstelveen College @ Amsterdam
中高一貫校  Fons Vitae Lyceum @ Amsterdam

コーヒーを飲みながら

学校に着くと、出迎えてくれた先生が職員室やミーティングルームに案内してくれて、まず「Coffee or tea ?」と聞かれます。他の先生たちも、笑顔で挨拶してくれたりコーヒーマシンの使い方を教えてくれたり、みんなフレンドリー。

チョコレートやクッキーが一緒に出されることも多く、すぐにくつろいだ雰囲気に包まれました。学校の説明をしている間も「コーヒーのおかわりは?」「好きなように飲んでね。」と声をかけてくれます。

職員室での先生たちは、コーヒーカップを片手に話をしていたり、パソコンに向かって仕事をしながらも隣同士でおしゃべりしていたり、ずっとザワザワしている、そんな感じでした。

ちなみにオランダの職員室には子どもは入ってきません。先生に用事がある生徒は先生を呼んで別の場所で話をします。この、大人だけの空間を切り分けていることも、先生たちがリラックスして過ごす秘密かもしれません。

1914年創立のFons Vitae Lyceumは
古い壁や梁を残したリノベーションが素敵でした。

オランダの人はとにかくよく喋る!これが私が1週間オランダに滞在した感想です(笑)。

イエナプランやピースフルスクールでは対話が大切にされていますし、ギフテッドスクールでもコミュニケーションの大切さを説いていて、とにかく話す、話す、話す。

そして同時に、相手の言葉を聴く習慣があるんだな、とも思いました。

ピースフルスクールの実践校 De Koekoekでは、私たちが打ち解けられるように冒頭に「互いを知る」ミニワークをセッティングしてくれたり、最後に一人ひとりの感想をゆったり聞いてくれたり(かなり時間がタイトだったので本当はそんなに余裕はなかったように思うのですが)、対話する時間をとても大切にしているのを感じました。

ピースフルスクールの小学校 De Koekoek @ Utrecht

大人が幸せに過ごす学校

対話をするのは、お互いが「違う」から。

オランダの先生たちと話をしていて、常に前提としてあるように感じたのはこの「違い」についての考え方です。

仲良しの友達であっても親子であっても、自分と相手は違う。当たり前のことですが、それはつまり考え方や感情も違うということ。それを日頃から自分は意識しているだろうか・・・そんなことを思いました。

オランダの人たちは、小さな頃から自分の意見を表明したり人の意見を聞いたりする経験を積み重ねて、歩み寄ったり対立を解消したりする術を身につけていくように見えました。

そのために大切にされているのが、相手を知ること。イエナプランの小学校Gabriel Schoolには校舎が2つありそれぞれに子どもが120人と180人いるとのことでしたが、Sander校長は、「みんながお互いを知っているし、校長である自分も全ての子どもの名前を知っている。安心安全が一番大事だから。」と話してくれました。

オランダでは、授業を持つ先生、メンター(担任のような役割)の先生、教務の担当、ICTの担当、スクールカウンセラーなど、様々な専門家がチームとなって仕事をしています。そして互いが互いを知り、業務内容やスキルはもちろん、家族のことや価値観なども(もちろん話したい範囲で)共有されているそうです。

先生である前に人であり、それぞれの個人を尊重し合っていることで自分らしく働くことができる。そんな幸せな大人たちが作る学校だから、子どもたちも幸せに学べるのかもしれません。

Gabriel School のSander校長と。

【編集後記】
今回は「先生の学校」の三原菜央さんが企画してくれたセミプライベートツアーで、日本各地から多彩なメンバーが集まりました。現地コーディネートはオランダ在住の三島菜央さんがしてくださって、特色ある様々な学校に訪問することができました。(お二人の名前が似ているのは偶然です・笑)
学校訪問も学びが多かったのですが、その後に毎回みんなで食事したりお茶したりしながらリフレクションした時間がとても豊かで、オランダの対話の文化を少し体現できた気がした1週間でした。

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