年度末は振り返りと見直しのチャンス 【週刊新陽 #102】
3月24日は修了式。2022年度もまもなく終わります。1年が過ぎるのは本当に早いですね。
ちなみに今年は雪解けが早く、札幌にもずいぶんと春が近づいてきました。
2022年度を振り返る
『中つ火を囲む会(通称:中つ火)』は、ほぼ毎月行っている教職員の対話の場です。
年度末の中つ火は、1年間の振り返りの回。今年度の大きな出来事だった校則見直しと単位制導入に焦点をあて、リフレクションを行いました。
中つ火の対話で大切にしているのは、見えていることや相手の意見に対して反射的に対応したり反論するのではなく、まずは評価判断を保留にし、多様な意見を味わうこと。そして、見えていないものに目を向ける意識です。
新しい取り組みをすれば必ず反応が現れます。ポジティブな反応のこともあれば、ネガティブに見えるものもあります。その時、この反応を引き起こしているものは何なのかと考えることが、ビジョン(ありたい姿)に近づく第一歩だと思います。
校則見直しと単位制導入それぞれについて、氷山モデルを使って、氷山の上にある「見えている出来事」と氷山の下にある「変化のパターン」「変化のパターンに影響を及ぼしたシステム構造」を読み解いていきます。
見えていないものの中でも特に「生徒や教職員の感情はどうだったか。それはどういう経験からきているか。価値観はどう変わったか。」について、小グループに分かれて対話を深めていきました。
最後に「この1年を振り返って気づけたこと、できるようになったこと」を一人ひとり思い浮かべて、全員でシェア。この気づきをさっそく次年度に活かしていきたいです。
対話が組織のカルチャーを作る
中つ火を始めて2年、今年もいろいろなテーマで対話を行いました。
中つ火の目的は、個人と組織のビジョンの共有、それぞれが持つモヤモヤやアイデアのシェアを通して、対話を組織の文化にすることにあります。と同時に、教職員がリフレクションや対話のスキルを学ぶ場にもなっています。
新陽では生徒も、講演会やPBL(Project-Based Learning)に合わせて、あるいは学期が終わるタイミングなどに、経験から学ぶためのリフレクションを行うのですが、そういった機会の設定や生徒へフィードバックする際に、先生が中つ火で身につけたスキルが役に立っている気がします。
また、リフレクションは一人でやっても煮詰まらなかったり、毎回同じような振り返りで終わってしまったりします。新陽の先生は、人との対話を通してリフレクションが深まることを中つ火で体験して知っているので、生徒たちにも様々な対話の場を設けてくれています。
今の新陽でいいんでしょうか
年度末、校則について振り返りを行ったのは教員だけではありません。先日、生徒会執行部の生徒たちが中心となり企画した『生徒会カフェ』が開催されました。
これは、昨年度、校則見直しに向けて生徒と教員が意見を交換する場として、当時の評議員長の島田くんが企画したオンラインイベント『校則カフェ』を引き継いだもの。
その中で、2年生の生徒が「今の新陽高校に満足していますか」というタイトルでプレゼンしました。まず、校則見直しには以下のような効果があると感じているとのこと。
彼女自身も、頭髪や化粧の規制がなくなったことで個性が出しやすくなり、コンプレックスを解消して人前に出る勇気が出たそうです。
一方、感じている課題がこちら。
ただ、これらはそもそも校則とは関係ないと思う、というのがこの生徒の主張です。校則の一部が自由になったからといって社会のルールを破っていいわけではないし、周りへの思いやりや想像力が足りなくて起きていることではないか、と。
「過去、校則についていろいろな意見や要望があった中で、時間をかけて学校が変わってきました。先輩たちが残してくれたもの、先生たちが変えてくれたもの、それを悪いほうに進めていいのでしょうか?より良い新陽になるために、生徒同士、先生と生徒でもっと対話したい!」という言葉でプレゼンは締め括られました。
昨年から改めて生徒自治を謳っていますが、こうやって生徒から学校をよくするための提案や問題提起がされるようになったことがとても嬉しいです。
なお、学校生活規則には「定期的かつ継続的に教職員および生徒により見直しを行う」という文言が入っています。これは「ルールは守るべきもの。でもルールがおかしければ話し合って変えればいい。」という前提に立っているからです。
運用して出てきた問題点や社会の変化に合わせて校則を見直し続けるためにも、リフレクションと対話を学校の文化にしていきたいと思います。
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