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山手 鷺山 竹之丸 (詩)

1 馬頭観音

四人の幼稚園児がしゃがんで手を合わせている
お墓のように見えるけれど
あれは馬頭観音だ
うちに来るときは
ちゃんと祈らないと罰が当たるんだよ だなんて
いいかげんに言ったのに

祈りという言葉を聞いて思い出すのは
その四人の後ろ姿だ

大切に祀っていた人もいた馬頭観音に
私はちゃんと祈ったことがなかったような気がする

2 トンネル

通学路近くの葛の向こうに線路が走りトンネルができていた
葛のつるを越えて線路に入った
砂利の敷かれた線路を歩き
トンネルをひとつ抜けた
子どもには少し長いトンネルの中には
灯りはついていたのだろうか覚えていない
トンネルを抜けたら、もう一つトンネルがあった
長いトンネルの向こうの小さな穴

トンネルとトンネルの間で私たちは迷ったのだった
空は曇り空だった(ような気がする)

山手の駅はまだ宙をさまよっていた


馬頭観音 昔は生け垣があった



詩の勉強会に出した詩
珍しくお直しがゼロだった。

(ような気がする)の )閉じる括弧はいるのかどうか
そんなことを言われたが、考えていなかった。
)がないほうが確かに、つぶやきが儚いというか消えていく感じがする。

小さいときのことで、無理やり思い出して書こうとすると説明的で
つまらなくなるので、全部消しました と言ったら
それが良かったんだと思う  と言われた。



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