無題

静かに私の体の中を通る色は、いつだって他の人にバレないように呼吸をしている。
それが至って普通のことなんだけど他の人は違うみたい。
猫背な彼の背中から脊椎が1本断続的に浮かんでいる。
魚の骨、綺麗に食べないといけないのは、命の形を保存しておくためなんだって。知らないけど。
人間の背骨も1本に繋がってるのかな。

グラフィカルユーザインタフェース。指でなぞる。
カーソルが見つからない。ゴミ箱に棄ててしまったっけ。左上に上昇志向。

私の足よりも私の肩の方が私っぽいし、
私の膵臓よりも私の皮膚の方が私っぽい。
マクロだね。人間は。
私の中にある感情とか思想とかも。
いつの間にか消え去った喉に刺さった魚の骨が私だったみたいに。