暢輝

役者をしたり、勉強したり

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マガジン

  • 武田の非日記

    その日に起こっていないことを書く。

最近の記事

タイトル仮案

この白んだ街のこと。 この空に底があること。 この空の底には魚が眠っているらしい。 行儀のいい世界と私 静かに眠るは夏の蝉 マツヨイグサは静かに眠る ニワゼキショウは月見をしない さようなら、合弁花 蕩ける日々と微睡む日常

    • すい星

      夕方の終わりのほう。 空が、ゆっくりと私には見えない色に沈んでいく頃、 きみは何も知らないままこの星から離れていく。 私にはなんでもお見通しだから。 悟ったかのような表情を浮かべる彼女の横顔は、水族館を漂うクラゲのようで、僕には到底掴めないような気がして、曖昧に笑って誤魔化すしか出来なかった。 彼女は今夜、もとの状態に、もとあった場所に、もどっていく。 何事も無かったかのように。 誰にも知られないように。 この100年足らずが138億年に溶けていく。 ほんとうに最初っから

      • 水中、肺呼吸

        私たちが生きるのに欠かせないものはって訊かれて、 空気だの、水だのを答えにできる人には到底かなわなくって、 私はどうしてもそれを正解っていってあげることはできない。 空気も水も私を通り過ぎていくだけで、結果的にはプラマイゼロ。山から流れ出た水が、海に行くために仕方なく川を通っていく、そんな感じ。私の中で増えたものも、減ったものも特にないんだよね。 じゃあ私はこうやって生きていく中で、何を消費しているのかっていうと、そういう具体的なものじゃなくて、愛とか命とか、口にするには

        • 書き留めていく

          ゆらゆらと揺らめく音がある。誰かの中で共鳴した音。私は、その音にゆっくりと耳を近づけていく。身体は元の場所に置いたまま。 雨が降っ・て、ノイズが増、える。不調和に.:.、。そして。(調 和的に(, 空気感を?(!) 。←碁石。あ、ここにも。碁石の無限ループ。パラドックス?白タピオカ 最終のリズム、まだリフは終わっていない。 口内炎が商業主義なら、私たちはいつまでたっても共産主義者の一人。 誰かが男女の不平等を唱える。その隣の人が、性の多様性を訴える。斜向かいに座って

        タイトル仮案

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        • 武田の非日記
          5本

        記事

          あのひと

          チョコラBBと葛根湯をたぶん体にいいからという理由で飲み干す。 昔はあんなに苦くて飲むのが嫌だったけれど、今では美味しいとさえ思ってしまう。ステーキを食べられなかった乳幼児が懐かしい。 何かを知るということは、それを知らなかった私を忘れるということ。外からの情報を入れれば入れるほど、私が薄らいで、半透明になっていく気がする。そのまま消えてしまいたいなとも思うけど、空の色はやっぱり白んだ鉛色で、煙に巻かれてしまう。 満月の夜、もしくはその前日。横断歩道の白に、そっと寄りかかっ

          あのひと

          無題

          静かに私の体の中を通る色は、いつだって他の人にバレないように呼吸をしている。 それが至って普通のことなんだけど他の人は違うみたい。 猫背な彼の背中から脊椎が1本断続的に浮かんでいる。 魚の骨、綺麗に食べないといけないのは、命の形を保存しておくためなんだって。知らないけど。 人間の背骨も1本に繋がってるのかな。 グラフィカルユーザインタフェース。指でなぞる。 カーソルが見つからない。ゴミ箱に棄ててしまったっけ。左上に上昇志向。 私の足よりも私の肩の方が私っぽいし、 私の膵臓

          いもに

          部屋の中の鍋の中に居座る野菜の兄弟が、早く食べてねと私をにらんで目を離さない。 私はその視線を感じながら、どうすることもできず、たださらに取り分けられた自分の分のジャガイモを齧り、咀嚼し、反芻することしかできなかった。 ジャガイモの新芽には毒があるらしい。 だが私はその毒を知らない。 毒が本当にあるのかも知らない。 ただ、毒があるかもしれないという恐怖心で今日もジャガイモに、包丁の直角を突き立てる。 ごとごとと煮られて、融け合って、二人の兄弟は一つに混ざり合ってただの黒ず

          いもに

          くろいろ

          夜。 空の色は夜になっても変わらない。澄み渡った青空も、曇り空も、ただそこでじっとしている。 治したはずの虫歯が痛い。顎を突き抜けて頭の先までピクニックをしにやってくる。砂糖をいっぱい使った甘いケーキと、リンゴがまるまる入ったアップルパイをもって。朝が来るのを待っている。 小さな男の子が私に教えてくれる。 この歯はぐらぐらしているんだ。たぶん頑張ったら抜けるんだけど、もうちょっと一緒にいてあげてもいいかなって。って。 それでもいいんじゃない?たぶん。 痛いのは嫌だしね。

          くろいろ

          3/17(雨)

          夢の中で何かずっと苦しんでた気がする。 どこかから船で6時間もかけてかえってこないといけないみたいな。 大きな船はずっと小さく揺れていて、それが丁度私の平衡感覚を壊していっていた。 夢から醒めても、その不気味な気持ち悪さが ふわふわと脳裏にこべりついて剥がせない。 足の痺れとともに夢中感が薄れていく。 シーツの上に横たわっていることを思い出す。 悪夢はもう終わりだ。現実に帰らなきゃ。

          おおいに曇り

          朝、彼が私の家を出るとき、机の上に飲みかけの缶チューハイが残されていた。 もうそれいらないからあげる。とまだ寝ぼけた私に彼は言う。 パッケージには緩やかなフォントでアイスティーサワーの文字。彼の伸びきった髭には似合わないななんて思いながら、2/3ほど残った缶に口をつける。 ぬるくなってしまったお酒。 気持ち悪いレモンの香りが鼻から抜ける。 また布団の中に潜る。彼の匂いとお酒の匂いが混ざり合う。私はどうしてか面白くなって一人で小さく笑い声を上げた。

          おおいに曇り

          02/15

          右手をあげます。    はい。 左手もあげます。    はい。 これで両腕が無くなりました。困りました。    そうだね。    ところで丁度いま友人から両腕を貰ったのだけど、いります? 欲しくないと言ったら嘘になります。

          02/12

          A これが最後のいっこかぁ B そうだね。13個入りだから、しょうがないね。 A 最後の一個はかわいそうなので、増やしてあげましょう。ちちんぷいぷいー B あ、普通にちぎるんだ A こっちの小さいほうをあげましょう B ありがとう A 大きいほうは、後世のために取っておきます B 急に壮大だね

          1/21(だいたい晴れ)

           甘いものを食べたいと思って、コンビニの冷たい甘いゾーンに向かう。アイスコーナーじゃなくて、なんというか、要冷蔵的な甘さ。 ミルクレープとイチゴのショートケーキがセットになったものを発見。 もちろん買う。366円税別。ビミョーな値段。 それが昨日の話。夜ご飯でおなかいっぱいになった私は、今日までケーキたちをコールドスリープ。未来では、食べてもらえるといいね。 未来の私、つまりは今の私は、ビスケットを食べている。 いや、昨日のケーキを食えよという意見は聞かない。甘いものが欲

          1/21(だいたい晴れ)

          1/8 取り留めもない

          今日はやけに眠い。 9時に目が覚める。 朧気にツイッターを開くと、昨日の夜か今日の朝かに大雨が降ったらしい。低気圧。雨嫌い。肩腰痛い。 脳に酸素が足りない。金魚みたいに口をパクパク。 かつて紫キャベツは緑キャベツが鬱血してできるもんだと思っていた。 そんなわけない。多分。緑キャベツってなんだ。 赤ピクルス。カリフラワー。ごぼう。 変な色の野菜は、他の野菜が持っていない栄養を持っているから、食べなさい。父の口癖。 父的には科学的じゃないんだろうけど、本当は科学的なのかもしれ

          1/8 取り留めもない

          飛沫

          夕暮れの中、私は一人歌を歌います。心はいつだってからっぽでいっぱいだ。なので私は、涙をくみ上げます 遠くで誰かが鳴らしたリズムが聞こえます。 1歩。2歩。3歩。 耳には波音しか入ってきませんが、私の足元からしっかりと聞こえています。 そのリズムに合わせて私も歩きます。 足の裏から伝わる音と、私の足音とが共振して、地の底から砂が湧き上がります。 夕暮れは、今日はもう池の中に潜んでしまって、船に乗っていた少女は、大きな音を立てて沈んでいきました。 3回目の音は小さくて

          初夏の話

          今年の夏は去年のよりも一段と暑くなった気がする。去年の夏なんてもう覚えていないけど。地球温暖化待ったなし、といった感じだろうか。そういえば、最近地球温暖化の話題を聞かない。"地球温暖化"もこの消費社会の中で、使い切られてしまったのだろうか。温暖化の熱で、もう蒸発してしまったのだろうか…。それにしても熱い。もう夏服にするべきだった。母親の意見を聞いとけばよかったな、なんて。 しばらくお待ちくださいのランプは、涼しげな色で光っている。汗が首筋を伝って、服に沁み込んでいく。何もかも

          初夏の話