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起業と言葉 vol.009 BuzzFeed

こんにちは!元電通のコピーライターで起業家のNOBUです。起業と言葉の連載も、ついに第9回。この記事を元に、スタートアップの企業スローガンやプロダクトキャッチコピーやCMもご依頼いただいており、本当にありがたいです。

BuzzFeedのピッチデッキ

本日はBuzzFeedというメディア系スタートアップについてです。日本ではBuzzFeed Japanという日本版メディアがあるので、聞いたことある!見たことある!という方も多いのではないでしょうか。BuzzFeedのピッチデッキでは、メディアらしく、コンテンツ内容をとにかく見せて体感レベルで理解させるということを徹底しており、説明が不足していると思う点もありますが、非常に興味深いです。では早速見ていきましょう!


現在地と未来を語る比較のピッチ

BuzzFeedのピッチデッキは、課題などは語らず、現在のトラクション数字と未来で冒頭から圧倒するスタイルです。ある程度事業ステージや、認知が進んできた段階では、このようなピッチが非常に有効です。
トラクションについては、数字がいけていないと逆効果ですが、BuzzFeedのピッチは良い数字で冒頭から殴ることができています。大きなビジョンや志、描いている未来こそが、周りの人や世の中を巻き込んでいく、スタートアップのエンジンである。とよく言われていますが、成功しているスタートアップほど、数値化しづらいビジョンなどに加えて、数字にもこだわり、圧倒的なトラクションを見せつけながら、それが社内のモメンタム(勢いのようなもの)にもつながっていると思います。

冒頭に大きなトラクションを持ってきて期待感を煽る
目指している未来を語るスライド

トラクションとビジョン、どっちの順番がいいの?

数字を先にすべきか、ビジョンを先にすべきか、この点は議論が破れるポイントではありますが、結論どちらが正解ということはありません。個人的にはビジョンを見せて、数字を見せる方が好きですが、BuzzFeedのように、冒頭から大きな数字を見せることで、ピッチ大会などでは、その後のスライドに興味を持って聞き入ってくれることも多くなると思います。日本で有名なのは、SHEという会社のIVS LAUNCH PADでの優勝プレゼンが有名です。冒頭にいきなり売上数字を持ってきてびっくりさせる、という流れがバッチリ決まった好例だと思います。好みもありますが、伝えたいこと、大事なことは、2回も3回も語るというのが有効(広告でも3回同じTVCMを見ると広告認知すると言われています)なので、冒頭でもビジョンを語りつつ、最後にもあらためてビジョンや未来や志について語るというのが鉄板のパターンだとは思っています。ただし、この部分は事業内容や代表者の好みも分かれる部分だとは思いますので、会社ごとに、どの構成が一番伝わるのか、いろんな人に壁打ちしてもらったり、いろんなピッチ大会に出てフィードバックを受けるのが一番だと思います。

とにかく画像でメディアのイメージを見せて想像させる

さて、BuzzFeedのピッチ資料に戻ります。数字と未来を比較したのちに、4ページからは、画像で実際のユースケースをイメージできる構成が10ページほど続きます。以下は一部抜粋です。BuzzFeedを見たことのない投資家にも、BuzzFeedがどういうものなのか、写真と補足の文言によって、一発で理解できる内容になっています。ピッチ資料の説明時間にもよりますが、じっくり話せる場合は、このように多くのページでイメージさせたり、デモ動画を見せることは非常に有効です。BuzzFeedの場合は、ユースケースまでイメージできるとさらに良いかと思いますが、広告のパターンなどもこの流れで解説しており、「儲かりそうな」イメージがつきやすい構成だと思います。

編集コンテンツ
新しいフロントページ
WEB上のバズを生み出すコンテンツ形態

2サイドプラットフォームはわかりやすさが重要

ユーザーが無料で使い、お金は広告主からもらう、といったSNSメディアや情報コンテンツメディアに代表される2サイドプラットフォームは、どちらからお金をもらうのか、そしてどうお金をもらうのか、という説明が必要です。BuzzFeedの説明は、非常にシンプルです。無料でオープンなバスを生むプラットフォーム(つまりユーザーは無料)。一方でお金をいただく広告主のクライアントからは、4種の広告メニューを用意していることが説明され、それぞれにイメージ写真をつけています。さらに、終盤では、メディアと広告の間に位置する唯一のメディアであることも明示しています。(今は他にもたくさん同じようなメディアがありますね・・・)競合との差別化やポジショニングマップは、なるべく自社が有利になりつつ、確からしい(それっぽい)切り取り方をいかに見つけるかがとても大事ですね。今後も

収益モデルの説明はシンプルに
オーガニックコンテンツとスポンサードコンテンツの違いもわかりやすい
メディアと広告の間のポジショニング
どうやって大きな市場を取るか

言葉の手法=想像させるビジュアルとセットで見せる。

想像させるビジュアルとセットで見せた事例①/LEGO

レゴの下記の広告は、旧カンヌ国際広告祭(現カンヌ国際クリエーティビティフェスティバル)にて、デザイン部門の受賞もしている、名作です。ワンワード+ワンビジュアルという、コピーライターにとっていつかは作りたい広告になっています。

imagine…

LEGO
LEGOの名作広告

初めて見た時、私も「これはやられた!」とぐらっときたのを覚えています。青いレゴ一面に、白いブロックが突き出ている。そして「imagine…」の文字。すぐにこのレゴが海の潜水艦を表していることがわかる広告になっています。見た目と言葉がセットで効果を発揮する好例です。

想像させるビジュアルとセットで見せた事例②/Yahoo!JAPAN

次にご紹介するのは、銀座ソニービルに掲示された、ヤフーの防災広告。防災広告ってメッセージを誤ると炎上リスクがあるし、かといって無難なメッセージだと目立たないので、とても難しいですよね。このヤフーの広告は、ビルの高さも活用した、言葉とビジュアルがセットでないと絶対に伝わらない広告です。

ちょうどこの高さ。

Yahoo! JAPAN
3.11東北大震災を忘れないよう、Yahoo!が銀座ソニービルに掲げた防災広告

コピーが高さを示す付箋のようになっている、素晴らしい広告だと思います。「津波の時は高台へ逃げよう」「当時の津波の高さは16.7メートル」とストレートに言われるだけよりも、よっぽど怖くて、東北で被災していない人にも、津波の恐怖が伝わる広告です。これ見たらすぐに高いところに逃げようと思うはず。言葉の力も、ビジュアルの力も活かした、素晴らしい広告だと思います。

今回は、コピーライターの視点で、スタートアップ起業家や、新規事業担当者向けに言葉のチカラについてまとめてみました。起業をしていなくても、すべての会社の広告やマーケティング活動、企業の広報やPR活動において、これからの時代に言葉のチカラは必須だと思います。
ビジョンライティングやブランドを規定するコピーライティング、心にのこるTVCMを作りたい方は、ぜひお気軽にご連絡ください!

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NOBU Planning CEO / コピーライター / クリエーティブディレクター
縦型グルメSNS「Popdish」CEO(Chief Eating Officer)
鈴木宣彦
nobu@nobuplanning.com

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