小田急×夢【ロマンスカーミュージアム】
海老名に伸びる一筋の行列
神奈川県海老名市の中心地、海老名駅。
駅前の開発が進むこの地で、ひと際行列が続く建物があった。親子連れが多く、皆にこやかな表情。中にはぐずるお子様もいらっしゃるが、盛況ぶりの証と言えよう…。世代をまたぎ、一つの行列をなしていたのであった。
今回は2021年に開業したばかりの海老名の新たな観光スポット、ロマンスカーミュージアムについて紹介いたします!
歴代ロマンスカー大集結!
一番の目玉は何と言っても、小田急電鉄が誇る歴代ロマンスカー車両が集結しているところ!どれも近未来的に洗練されたデザインで、武骨な展示室でより一層映えててカッコいい~!最近の鉄道ミュージアムに多い特徴ですが、車両と人との距離がとても近いですよね。車両への親しみやすさが増すの同時に、普段は見られない車両真正面からの迫力あるアングルを覗けるのもポイント高いです!カメラを携えて来場される方が多くいらっしゃったのも、その理由があるからでしょうね。
ジオラマの再現性と幻想性
ジオラマにあったドラえもんミュージアム(藤子プロのキャラがいる!)
個人的に車両展示よりも心を掴まれたのは、小田急沿線の街々を再現した巨大ジオラマでした!
ロマンスカーが展示されている一階からエスカレーターで登ると、別世界が2階に広がっていた。そして、薄暗い空間からポツポツと小さな明かりが浮かび上がり、電車の走る音が聞こえてきた。プロジェクションマッピングを組み合わせたジオラマ空間は、まるで幻想空間で夢のようであった。私以外の皆がこの空間に夢中であったことは言うまでもない…。子どものように、鉄道模型が走る様子に目を奪われる人もいれば、「スッゴーイ!リアル!」とジオラマに感嘆する人も多かった。しかし、このジオラマは小田急沿線の街をリアルに再現したというより、幻想的な演出をすることに重きを置いていると個人的に感じた。
ジオラマ右側をよく見ると、新宿ビル街を歩く人々は建築模型で見られるような、単色のアクリル人形で再現されていた。再現度に重点を置くなら、鉄道模型で使われる多色かつポーズが細かくついた人形を用いるべきであろう。だが、こうした人形は箱根や小田原など、小田急沿線の観光地を再現したジオラマでふんだんに使われていた。箱根駅伝を走る選手たち(実際に走っている!)、鎌倉を観光する観光客、登戸にあるドラえもんミュージアムに訪れる人々……。おそらく、来場者の目を引く場所には細かさを追求した再現性があり、比較的そうでない場所には俯瞰視点で得られる幻想性が配置されているのだと思われる。半透明なアクリル人形には、照明を用いた演出の際に幻想性を引き立たせ、ジオラマの中で浮かない狙いがあるのだと感じた。
全国の鉄道博物館において、ジオラマ展示というのは定番であるが、再現性と幻想性をここまで両立させた所は今まで見た施設の中で初めてである。さらに、俯瞰視点での鑑賞のしやすさが、この魅力を一層引き立たせている。ジオラマを俯瞰で見るには後方に下がる必要があるが、前方の来場者が壁となって鑑賞しずらいという問題がある。また、これを解決するために段差をつけて後方を高くする方法があるが、前方の鑑賞エリアの縮小により圧迫感が生じる問題が考えられる。しかし、ロマンスカーミュージアムのジオラマ展示はこれを上手く対処している。
ロマンスカーミュージアムのフロアガイドより、ジオラマパークの配置図。
ジオラマの配置を上から見ると、釣り針のような形をしていることが分かる。また、釣り針の根元部分には、段差の上がったビューテラスが配置されている。この釣り針型の配置が再現性と幻想性の楽しみ方を両立されているのだ!細かい展示を楽しみたい来場者は釣り針の膨らみ部分に集中し、俯瞰で楽しみたい来場者はビューテラスで楽しめるというわけである。また、ビューテラスは段差がついているため、座って鑑賞できるというメリットが備わっている。このジオラマは時間ごとに変わる演出を取り入れているため、長時間観ても飽きないクオリティーを備えている。そのため、こうした座りながらの鑑賞ポイントがあるのは嬉しいものである!
帰りは優雅にロマンスカーで!
ロマンスカーに乗り、土産を食べながら優雅に帰宅。
いかがだったでしょうか?かつて人々を乗せて夢を与えたロマンスカーは、ミュージアムとなって展示された今でも夢を与え続けていました。そして、今もなおロマンスカーは次世代の車両によって夢を乗せて走っています。海老名駅はロマンスカー停車駅ですので、ミュージアム訪問後、私は土産のロマンスカー弁当を車内で食べながら帰りました。とても上級国民の気分になりました!
優雅な休日に是非訪れてみてはいかがでしょうか!
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