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小説を書いて、朗読をしています。
三分間の物語をお楽しみください。

久しぶりに晴れた冬空に、
イヤホンから流す想い出の曲を重ねた。
日差しに惑わされそうになるが、
しっかりと空気は様変わりしていて、
たしかな冷たさを湛えている。

僕は「頑張る」という言葉が嫌いだ。
「頑なに張って」みて、
良かった経験が一つもない。
いわゆる"ゆとり世代"という、
時代が生み出した捻れた時空の中で
青春時代を過ごした僕には、
あまりにもぴったりで、ちょっとおかしい。

風は見えぬままに人を撫で
葉を揺らし、鳥を泳ぐ。

いつか僕には夢があった。
「夢」という輝かしい言葉を冠にすることに
ひどく抵抗感を覚えるが、
小さい頃の僕の夢は「鳩になる」ことだった。
笑って頂いて構わない。
むしろ笑ってもらわないと困る。

公園に降り立てば名前も知らない人間が
パンの欠片をポンポンと落とす。
これはチャンスだ、とよぎる瞬間には
僕のクチバシはそれを咥えている。

嗚呼なんて素晴らしい世界だろうか。
山に作ったトンネルの
穴の先から見た世界は、
「頑張り嫌い」な人間の目には
とても画期的に見えた。

そういえば砂場というものを
めっきり見なくなった。
大人になった僕は、トンネルの先に
何を見るのだろう。

希望も失望も夢も無情も、
大きく広げた股の下、
逆さに映る世界それそのまま、
空に落ち羽ばたこう。

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