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『Death's Door』で、"ソウル"を刈る仕事に従事した話

「ああ、消えるーー」

 これは、落語の『死神』のオチサゲでよく使われるセリフ。『死神』といえば古典落語の演目の一つで、 幕末期から明治期にかけて活躍した初代三遊亭圓朝グリム童話の第2版に収載された『死神の名付け親』を翻案したものである……らしい(Wikipediaから抜粋)。

今回は、そんな"死神"のようなのが出たり出なかったりするお話



📃|『Death's  Door』はどんな"扉"?

 『Death's  Door』は2021年7月20日SteamNintendoSwitchPlayStation4などでリリースされたアクションアドベンチャーゲーム2023年8月にはPSPlusのフリープレイ対象となっているため、ライブラリに眠っている人も少なくないかもしれない。

 主人公は死者の"ソウル"を刈る仕事である「リーパー」に従事しているカラス。自分が担当している"扉"の先にある"ソウル"を刈ることで自分の寿命を延ばしていくのだが、ある日"ソウル"を横取りされてしまう担当している"ソウル"を手にして"扉"を閉じなければ、自分の寿命が削られ続けてしまうため、盗人を追いかけていると大きな"扉"の前に辿り着いた。

 その盗人はかつて「リーパー」だったと語り、彼は取り逃した"ソウル"が逃げ込んだとされる"扉"を開けるために盗んだ"ソウル"を捧げたが、それだけでは足りず、"扉"を開けることが叶わなかったようだ。その"扉"を開いて先に行かなければ自分もいつか死んでしまうため、仕方なく盗人に協力して、世界に存在している強大な"ソウル"を刈る旅に出ることになる

扉ほっっっそ

 開発はイギリスマンチェスターにある開発スタジオ・Acid Nerveメインのメンバーは2名というのが驚きだ。過去作は少ないものの、ここまでハイクオリティな作品を作り上げたのはセンスのなせる業か。


⭕|クォータービューで描かれる、美麗で快適なアクションゲーム

 本作は斜めに見下ろすような形式のクォータービューとなっており、ミニチュア感のあるキャラクターやオブジェクトが配置されている。世界はいくつかのエリアに分かれており、それぞれ特色があって、そのどれもが美しい

どのエリアも雰囲気が良い

 アクションゲームの操作感としては快適で、攻撃や緊急回避ドッジロール、魔法など、どれもがストレス無く発動させることができる。溜めが必要なものもあるが、そのあたりも許容範囲内に収まっていると思う。敵の攻撃を跳ね返したり、マップ上のギミックを利用して敵にダメージを与えたりと、お手本のようにキレイに仕上がっている

巨大な敵との戦闘も面白い

 キャラクター自身のレベルは無いが、敵を倒した際にドロップする"ソウル"を使って「強さ」「器用さ」などの4つに分かれた項目で能力を強化することができるすべての項目を最大まで強化するのはかなり難しいので、自分のプレイスタイルに合わせて特化して強化したほうがいいかもしれない。

力こそパワー

⭕|演出が最高!

 本作はどちらかというとデフォルメされたようなデザインとなっているが、そのデザインとは裏腹に演出面が光っている。基本的にはクォータービューなのだが、隠れた道を通る際にはカメラがグリッと動いて本来なら見えない場所を見えるようになったり、ボス戦では名前がデカデカと表示されたりと、個人的に「おっ!」と思わされるようなものが多かった。ストーリー的にも見せ場が多く、最後まで非常に楽しめた

日本語じゃないほうが様になってるかも?

 演出面で特に驚いたのは道中にある道案内の看板。攻撃することで割れるのだが、割れたあとに調べるとテキストも半分になっているというところ。しかも、それぞれ違う割れ方をしているのが反映されていて度肝を抜かれた。神は細部に宿るねぇ


⭕|荘厳で美しい音楽が世界観とマッチしていて素晴らしい

 全体的にしっとりとした曲調で、ピアノや笛の音色が本作のダークさや不気味さ、切なさを上手く演出してくれている。タイトル画面の音楽が好みに合うならほとんどの曲を気に入ってくれると思う。
 個人的に気に入っているのはアヴァリス戦の『Avarice』と終盤のエリアで流れる『The Old Watchtowers』。
 『Avarice』はゲーム中の演出と相まって、名前がデカデカと表示された瞬間に曲が始まるのが印象的でかなり好き。

 『The Old Watchtowers』は静かなピアノの音から入り、徐々に盛り上がっていくような曲で、終盤であることを感じさせるようなメロディ。長時間滞在するような複雑なマップでもずっと聴き続けていられるような名曲。


💬|難易度はちょっと高めの死にゲー

 本作は体力の上限が少ないこともあり、攻撃と回避の見極めが重要になる。良く言えば「あまりミスができない、ヒリヒリ感がある難易度」、悪く言うと「ミスの重みがデカい、死にゲーに近い難易度」。相手の行動をよく見て、攻撃タイミングを見計らうのだが、これが意外と難しい。道中のザコ戦は複数体との戦闘となることが多く、場面によっては敵がしつこく追ってきて10体近い敵と同時に殴り合うことになる。近接攻撃と遠距離攻撃の敵が合わさる場面では遠距離攻撃の攻撃速度が速く、近接攻撃の敵を処理している間に遠距離攻撃が飛んでくるので、画面全体を把握する力が求められる。また、チェックポイントとなる"扉"や回復ポイントの間隔が長い場所も多く、なるべくミスを減らしながら連戦を乗り越えなければならない。ボス戦ではギミック地形による制限があり、攻撃パターンを覚えることが特に重要になる。魔法も駆使して戦うことになるが、長期戦になることも多いため、集中力をいかに維持できるかが攻略するポイントになってくる。

DEATH

❌|マップを記憶する大変さ

 本作は大きな世界を渡り歩いていくことになるのだが、特にワールドマップのようなものもなく、プレイヤーの記憶力が非常に試される。徐々に能力が増え、行ける場所が増えていくのが本作の魅力ではあるが、その能力を使って進める場所ってどこだっけ、となりがち。拠点となる本部から各エリアのチェックポイントとなる"扉"に移動ができるが、どこがどれだっけとなってしまうこともしばしば。結構複雑めなので、マップは欲しかったなぁ

どこ

❌|”種”と”鉢植え”を求めて三千里

 回復地点としてマップに点在するのが"鉢植え"だ。これに""を植えることで回復が可能となるのだが、やり込むことになると全ての"鉢植え"に"種"を植えてあげる必要になる。ほとんどの場合は道中でしっかり回収しておけば問題はないのだが、取り逃しや植え忘れがあるとどんどんズレが発生してしまう。とある場所で「何個植え忘れがあるか」は教えてくれるのだが、詳しい場所は教えてくれないというちょっとした嫌がらせをしてくる。プレイヤーの記憶を巡らせてどうにか探し出すか、攻略ページに載ってるのを順番に追ってくしかないのがキツめなので、前述したマップと併せて細かく教えてくれる機能があれば嬉しかったなぁ。

植えてない記憶を辿る旅へ

💬|全体的なボリュームは小さめで、サクッとクリアできる

 初見でのクリア時間は14時間30分ほど。そこから100%クリアするのに探索をして18時間。2周目はトロフィーのために縛りプレイをして9時間ほどでクリア。だいぶゆっくりとプレイしてたので、特にこだわりがないなら10時間~12時間程度でクリアできるのではないだろうか。最近の作品としては手を付けやすいのかなと思った。

参考までに

⭐|良質なアクションゲームをやりたいなら触っておくべき良作

 アクションゲームとしては最高峰のクオリティで、ボリュームは丁度いい音楽も世界観も魅力的だし、非の打ち所がほとんどない良作。クリア後の要素は自力で解くのは難しいが、より世界観を深く魅せてくれるサービス精神も感じられるので、是非とも最後まで見届けてもらいたい。最近プレイした中でも特におすすめの一作

 それでは。

 おわり。

最短で1周でトロコンも可能

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