むくみの養生をかんがえてみた
こんにちは。
養生担当“ のぶ ”こと千葉宣貴です。
当月も宜しくお願い申し上げます。
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残暑で相変わらず夏バテさんが多いですね。
在宅医療現場でも当然のように「ダルい」「便がでなくておなかが苦しい」等、内臓の疲れや機能低下をベースとした訴えが目立ちます。
そんなときに同時にあらわれたり、増悪するのが"むくみ"。
とくに高齢者の施術では全身状態にたいするひとつの指標として便利です。
今回はその指標である"むくみ"を東洋医学の養生でどのようにとらえて対応するか書きます。
まずはむくみ(浮腫)について確認しましょう。
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むくみ(浮腫)
むくみ(浮腫)は局所性浮腫と全身性浮腫のふたつに大別されます。
西洋医学からみて深い内容はこちらの資料に目を通してみてください。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kochi/20140325001/mukumi.pdf
局所性浮腫
静脈やリンパ性は液性物質の流れが妨げられて生じる浮腫。
またリンパ性や炎症性は感染症やアレルギー、やけどなどの炎症反応等で物理的に流れが阻害されています。
血管は神経支配を受けており脳梗塞などで神経が傷害されると浮腫を生じます。
どれも東洋医学では "血や津液の動き" が妨げられている状態ととらえることができます。
全身性浮腫
a)は腎機能が低下することで ”余分な水やナトリウム” の排泄能力が低下したり、腎臓から蛋白尿が大量に出てしまったために血液と体組織での水のバランスをうまくとることが出来なくなって生じるむくみです。
高齢者が主の在宅医療ではよく目にするので、患者さんによっては尿の状態を確認する必要があることをおぼえておくといいですよ。
b)は心筋梗塞や心筋炎などで心機能が低下すると体内に "余分な水やナトリウム" がたまるようになってしまいます。
左心系が障害されると肺に水がたまって肺水腫といわれる肺がむくむ状態になり呼吸が出来なくなります。
一方右心系が強く障害されると、全身に浮腫が生じます。
東洋医学では君主である心(君火)を肺(金)がたすけるととらえていますね。
心性浮腫をとおしても心肺機能と生理物質(精・氣・血・津液)の循環がいかに大切かわかります。
c)は肝臓での血液の中に水分を留めておくのに必要なアルブミン(タンパク)の合成が低下による血中濃度低下がおこります。
また肝臓内の線維化により血流が障害されてくるため消化管から肝臓に血液を流す門脈の血圧が上昇。
すると"余分な水やナトリウム"が体の中にたまるようになり、むくみや腹水を生じます。
時代背景から在宅医療対象者は肝炎をおもちです。
既往歴や病状を把握しておくと吉です。
d)は極度の栄養障害によるもの。現代日本では稀有ですが、非常に重篤な消耗性疾患の患者さんで生じる場合があります。またB1欠乏で脚気になると生じることがあります。
e)は風邪薬や漢方薬などを服用した後にむくむこと。一般的には薬剤を中止すると自然に消失します。
効果だけでなく副作用をよく確認しましょう。
f)は甲状腺機能低下による粘液水腫。
これは他の浮腫と違って指で押してもすぐに元に戻ってしまい、指の跡が残りません。
なんとなくはれぼったくて体重も増え、寒がりになります。
高齢者は寒がりが多く、夏に暖房ですごしてしまうツワモノがいます。
それほどのかたは珍しいですが、現場では散見されるので要チェックです。
e)は原因が特定できない浮腫。中年女性に多く見受けられます。
余分な水やナトリウムということから、ミネラルバランス(電解質バランス)は重要です。
残念ながらミネラルは体内で合成できないので、食事から摂取する必要があります。
普段の食事や補助食品でナトリウム以外のミネラル(カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛)を取り入れましょう。
東洋医学でみたむくみ(浮腫)
さきほど西洋医学では "余分な水やナトリウムがたまった状態" ととらえていました。
一方、東洋医学では "痰湿の停滞" をむくみととらえています。
おもに肺(上焦)・脾(中焦)・腎(下焦)の機能失調により津液の代謝が悪いものにおおく見受けられます。
痰湿(水湿・水飲・痰飲の総称)は津液の停滞、凝集により発生し、"人体に不要な物質" ととらえています。
つまりむくんでいる状態は、体が不要な物質を体外に出す能力が低下しているということ。
ここで注目したいのは "津液は自身でうごく能力がない" ことです。
養生においてはその他の生理物質から、動力をもらうことを考えなければなりません。
そこで津液と氣・血・精の関係性をみていきますね。
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