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ミネルヴァの梟

die Eule der Minerva beginnt erst mit der einbrechenden Dämmerung ihren Flug
ミネルヴァの梟は迫り来る黄昏に飛び立つ。
(ゲオルク・ヴィルヘイム・フリードリヒ・ヘーゲル著『法の哲学』(1821年) 序文より)

ローマ神話に登場する叡智の女神ミネルヴァ。
彼女はフクロウを自らの使者としていたらしい。
そしてこの世の終末時にフクロウは深い闇の淵に向かって飛び立つ、との事。

フクロウに託した叡智とは一体何のことだろうか。
法とは、秩序とは、知恵とは、希望とは。
もしも自分だったら、一体何を託すのだろうか。
もしも自分だったら、この世の黄昏時に闇夜に向かい飛び立っていけるのだろうか。

僕が読んできた書籍の中で、おそらく一番胸を熱くさせた書き出しや序文は、このヘーゲルが暗喩する『ミネルヴァの梟』だ。


          *

イデオロギーや宗教観は一旦隅に置いて、というか何かしらの団体や政党に加担する気など更々無いが、

今がまさに、この世の黄昏時なんじゃないか?

と、危惧している。
もっとフツーに言うと、ビビっている。

だからもし、自分が何かを託せるなら、自分のことばをミネルヴァの梟として、闇夜に向かい飛ばせようと思っている。

もし目の前にいるなら背中をさすったり、手を握ってみたりするかもしれないが、それが出来ないならせめて、僕はことばで誰かの心をあたためたい。

追記:写真は北海道の友人のお兄さんが撮影したものです。





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