「トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在、そして」 " Disclosure" Netflix
Netflixに入って良かったと思うことの一つは、良質のドキュメンタリーが多く配信されていることだ。
2020年6月19日から配信された、この「トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在、そして」"'Disclosure" も見て良かったと思った一本。
Reference YouTube 英語版予告編
過去、ハリウッド映画界がトランスジェンダーの人々をどれだけ侮辱してきたのかがわかる。
古くはD・W・グリフィスの「国民の創生 "The Birth of a Nation"」(1915年)から、ジェンダーがはっきりしない人間を登場させ、黒人も侮蔑する。ハリウッドでは、それがまかり通ってきたのだ。
「サイコ」「羊たちの沈黙」「トッツィー」「クライング・ゲーム」「ハングオーバー2」「狼たちの午後」「エースベンチュラ」... ヒットした劇場映画の中でのトランスジェンダーの人々の描かれ方は、その心に傷を負わせるものだった。
原題は"Disclosure"、 つまり、打ち明けること、表に出すこと。過去の映画、テレビドラマやトークショーでの、様々な問題点や、長い年月をかけて、トランスジェンダーの人々が、勇気を持って声をあげることによって変わってきたその歴史を振り返り、未来を考えていく。
監督は自身もトランスジェンダーのサム・フェダー。インタビューを受けるのは、アンジェリカ・ロス、ラヴァーン・コックス、MJ・ロドリゲス、ヤンセ・フォード、アレクサンドラ・ビリング、トレイス・リセットなど。アメリカに比べ、日本での知名度はあまりないが、この人たちの事は覚えておこうと思った。
その中で、一般の映画ファンにも有名なのは「マトリックス」シリーズを作ったリリー・ウォシャウスキーだろう。当初はウォシャウスキー兄弟として作品を発表していたが、現在では姉妹となっている。
トランスジェンダーではない自分が何を言っても、それはこのドキュメンタリーの中での言葉のように「外から見ているだけ」かも知れない。だが、そんな人たちの痛みを理解することは出来る。
このドキュメンタリーが、トランスジェンダーで苦しんでいる人たちの希望となってほしい。
映像をはじめ、製作側にいる人、そしてそれを目指すクリエイターの人たちにこそ見てもらいたい作品である。
てなことで。
【追記】
以下、Normal Screenでサム・フェダー監督のインタビューを見つけたので紹介しておく。
このインタビュー中に出てくる、サム・フェダー氏に影響を与えたドキュメンタリー「セルロイド・クローゼット」(95年)を見て、かつて自分のブログに感想を書いたことがある → ココ
10年前の文章だが、読み返してみると、まだぼく自身に偏見があったのがよくわかり、反省した(当時はまだ驚きの方が強かったのではあるが...)。
だが、時代は確実に変わり、人々の意識も変わっている。自分も含めて、本当に変わったと信じたい。
03-Sep-20 by nobu
最後までお読みいただきまして誠にありがとうございました!