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魅惑なるカレーの世界 その②

世代を問わず、昔も今も多くの人に愛され続けるカレー。
まさに「国民食」の呼び名がふさわしい食べ物です。こんなことを書いている筆者も大のカレー好きで、カレーを食べている時こそが至福の時間!

今回は「魅惑なるカレーの世界  その②」と題し、前回に引き続きカレーの魅力をご紹介します。


魅惑のカレー沼

カレーの魅力は万国共通。国によって使うスパイスや食べ方も違うカレーは世界中の人たちに親しまれています。
日本では、欧風カレーが一般的で市販されているカレールウも欧風ベースのものが大半を占める中、近年は、そのスタイルも変わり、欧風だけでなくインドやタイ、そしてスパイスカレーにいたるまで実に多彩。

街にはカレー専門店も多く、市販品ではレトルト商品を中心に、どれにしようか迷うほどの種類のカレーが店頭に並んでいます。
しかも、人気店の味を忠実に再現している商品も多く、わざわざお店に足を運ばなくても十分に専門店のカレーが楽しめるレベルの高いものばかり。

ここでは筆者が食べ歩いたカレー屋さんの中から、オススメしたいお店をいくつかご紹介します。

東京・神田須田町「トプカ」のキマカリー(キーマカレー) 写真:筆者

東京・神田須田町、「トプカ
店名の「トプカ」は、「トップ・クオリティ・オブ・カリー」の頭文字をとったもので、その名の通り、とてもクオリティの高いカレーです。

写真はキマカリー(キーマカレー)。
ターメリックライスに盛られたキーマ(挽肉)の周りを囲むのはダル(豆)カレーです。

辛口のキーマカレーを食べ進める途中でダルカレーを口にすると、まろやかな味わいに思わずホッとしますが、やがて、この2つのカレーが混ざり合って新たな味のカレーが完成するのです。

こちらのお店の特徴は洋風カレーと印度風カレーの両方を提供しており、どちらもお店のオリジナル。
欧風カレーはバターと白ワインなどを使い、飴色(あめいろ)になるまで炒めた玉ねぎに20種類以上のスパイスと鶏スープを加えて12時間以上、煮込んで作られています。
一方の印度風カレーは、シナモンやカルダモン、クミンなどを使い、辛さや風味を引き立てています。


東京・赤坂「サファリ」の「ドロワット」 写真:筆者

東京・赤坂、「サファリ
都内でも珍しいアフリカ各国の料理を提供するお店です。
写真はドロワット。エチオピアの鶏の煮込み料理で「ドロ」とはエチオピアのアムハラ語で「チキン」、「ワット」は「シチュー」という意味。

正確にはカレーではありませんが、数々のスパイスを使い、じわりと辛さが広がるドロワットはカレーと認識しても何ら違和感のない郷土料理です。
メニューには通常のカレーとドロワットの「あいがけ」もあるので、両方を食べながら味の比較をするのも楽しさのひとつ。

そして、こちらのお店は食事だけでなく、愉快で日本語の堪能なアフリカ人のオーナーとの会話も魅力のひとつ。
食後のエチオピアコーヒーも、とても美味しくオススメです!


東京・下北沢「SANZOU TOKYO」の「タリンカレー」 写真:筆者

東京・下北沢、「SANZOU TOKYO
こちらのお店の特徴は立ち食いであること。
立ち食いと聞くと、さっさと食べて慌ただしくお店を出るようなイメージもありますが、こちらは違います。

出されるカレーは本格的。店内はとてもオシャレな雰囲気で立ったままカウンターでゆっくりカレーを味わうのが、こちらのお店のスタイル。
しかも、食後は無料でチャイまで提供されるサービスぶりです。

写真はタリンカレー。トマトベースの酸味がとても爽やかでカラフルな見た目も食欲をそそります。


東京・神田神保町「エチオピア」 チキン+野菜カリー 写真:筆者

東京・神田神保町、「エチオピア
カレーの街、神保町の中でも押しも押されもしない人気店。
筆者が20年以上、通い続けるお気に入り店でもあります。元々、喫茶店でしたが、美味しいカレーが評判でカレー専門店に移行しました。
喫茶店時代の名残を感じとれる店内の雰囲気は、まさに昭和レトロそのもの。

大量の野菜を長時間煮込んで、とろみを出しており、ルウには野菜の持つ栄養素や食物繊維がたっぷり含まれています。
さらに12種類のスパイスも薬草として使われているものばかりで薬膳効果のある、とても健康的なカレーでもあります。


東京・八重洲「SITAARA DINER」 オムピリヤニカレー 写真:筆者

東京駅八重洲地下街、「SITAARA DINER(シターラダイナー)ヤエチカ店
こちらのお店、本店は東京・青山にあるインド料理店「SITAARA(シターラ)」で現在、都内に5店舗を展開しています。

ご紹介するお店は令和4年(2022年)に東京駅八重洲地下街にオープンしました。
本格的なインドカレーを楽しめるお店ですが、オススメするのはオムレツでとじたピリヤニを2種類のお好みのカレーでいただく「オムピリヤニカレー」です。

ピリヤニとはインドの炊き込みご飯のこと。多くのスパイスをまぜたパスマティライス(インド米)はスパイシーで、これだけでも十分に美味しいのですが、これをオムレツで包み込み、さらに両側から2種類のカレーをかける贅沢ぶり。これが美味しくないはずがありません。


東京・高円寺「ホールスパイスカレー青藍」 スパイシーチキンカレーZ定食 写真:筆者

東京・高円寺、「ホールスパイスカレー青藍(せいらん)
スパイスカレー専門店ですが、こちらのお店の特徴はワンプレートにカレー、野菜総菜がバランスよくセットになったカレー定食。
カレーは小麦粉や旨味調味料は不使用。ベースは炒め玉ねぎ+緑黄色野菜+鶏ガラ+かつお節+昆布出汁、そして+αの旨味が入っているとのこと。

辛さもほどほどのスパイスカレーは、オーダーが入ってからホールスパイスとオニオンパウダーを炒めるもので、とても香り高く視覚、嗅覚ともに刺激されて食欲をそそります。

カレーは栄養価の高い万能食

日本の家庭料理の定番でもあるカレーライス。
肉や野菜が入ったカレーをご飯で食べるスタイルは主食・主菜・副菜をひとつのお皿で全て取れるものであり、栄養バランス面でも、とても優秀!

ただし、たくさん揚げ物が入ったものや、やたら量が多いものなど限度を超えたボリュームのカレーもありますが、それらは、この限りではありませんので食べるときには気をつけたいものです。

日本のカレーの幕開け

日本にカレーが広まったのは明治時代初期。
ペリーが浦賀に来港し、日本の鎖国体制が事実上、崩壊すると横浜には多くの欧米人か住みつくようになります。
1871年(明治4年)、イギリスから誰でも簡単にカレーが作ることができるカレー粉が伝わったのを契機に日本の食文化にカレーが浸透。

さらに、それまで禁止されていた肉食が解禁されたことにより、洋食専門店が続々と開業し、メニューにライスカレーが登場すると国民のカレーへの関心は一気に高まります。
1873年(明治6年)、陸軍幼年学校の土曜日の昼食にはじめてライスカレーが登場。さらに1876年(明治9年)には札幌農学校において、クラーク博士によって1日おきにライスカレーを食べることが実施されます。
その後は、またたく間に日本中にカレーが広まりました。

1905年(明治38年)、日本で最初の国産カレー粉が発売され、カレーは高級食から大衆食へと変わります。
1908年(明治41年)、大阪の蕎麦屋で新しいものを取り入れるべく、試行錯誤の末にカレー南蛮が登場。

ちなみにカレーパンが登場したのは1927年(昭和2年)のこと。
東京のパン屋「名花堂(現:やきたてパン カトレア)」が実用新案登録して世に送り出しました。

現在でもおなじみの固形カレールウが登場したのは戦後、1950年(昭和25年)のこと。浦上商店(現:ハウス食品)が発売すると、これに他社も続き、カレーは誰でも簡単に作れて、現在のような家庭料理の定番として発展を遂げます。


東京都美術館内「レストラン・ミューズ」のビーフカレー。
運営は老舗、上野精養軒。 写真:筆者 


おわりに

子供から大人まで世代を問わず大人気のカレー。
今回、ご紹介したカレー店も、とても素晴らしいお店ばかりです。しかし、専門店で食べるものだけが美味しいカレーではありません。

カレーは家庭料理の王道でもあります。
ご家庭ごとに作るオリジナリティあふれたカレーこそが、おうちカレーの醍醐味!
入れる具材はもちろんのこと、市販のルウを複数組み合わせたり、お好みのスパイスを入れたり、その楽しみ方も大きく広がります。

この記事を読んでカレーが食べたくなってきた皆さん。
明日は、とびきり美味しいカレーを食べちゃいましょう!


参考資料 ハウス食品「日本のカレー カレーが国民食になるまでの歩み」











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