【人間観察】痴漢にあったことあるよ!
過日の夕食後のこと。
家族で痴漢の事件を伝えるニュースを観ていたときだ。
アラフォーの娘が、ボソッといった。
「ワタシも、痴漢にあったことあるよ!」
老夫婦は、唐突な娘の発言に、揃って周章狼狽していたのだろう。
「って言っても・・・もう~20数年ほど前のことだけど・・・ね」
娘は、あわててフォローするかのように、笑顔で続けた。
新社会人になりたてで、心身ともにヘトヘトだったころ、最寄りの駅から歩きで帰宅途中。後ろからやって来た自転車男が、通り過ぎたと思った瞬間、娘の股間を鷲掴みにしたそうだ。
カミさんは「ヒドイ!」と叫び、「・・・」私は返す言葉が見つからなかった。娘は突然のことで、唖然としていたけれど、やっとのこと「バカ~!」と叫んだそうだ。
そして、足もとの小石を拾って、その痴漢男にぶつけたんだとか。
ところで、その事件から数日たったある日、女友だち数人と話す機会があり、その話をしたところ、その友だちのひとりが、予想もしない言葉を発したそうだ。
「あなた!その石が万が一、その男の人に当たったらどうするの?」
娘はそう発言した人とは、それ以来、疎遠になったという。
当然だが、当たるはずのない事を確認して投げつけている。単なる腹いせなんだから。
「その友だち!ピント外れもいいところだ」私は発言者の人となりを想像しながら言った。
「そんな男なんか、石をぶつけられて当然だよね~」くらいのコメントが普通でしょ!と、娘は昨日のことのように、苦々しく言い捨てていた。
被害者である娘へのいたわりの全くない人とは、つき合いたくないと判断した娘に、私は軍配をあげながら、冷めた緑茶を思い切り飲み干していた。
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