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【日記公開】Sってセックスのことだったのね?

「赤い夕陽が、校舎をそめて、二レの木陰に、弾む声」は、舟木一夫が唄って大ヒットした「高校三年生」の歌詞の冒頭だ。<やまのぼ>は、そのころ高校二年生で、夕暮れ時など学校前の小高い丘で、友人達とよく歌っていたのを憶えている。半世紀以上前の光景だ。

そんな時代のある日のこと、唐突にも父親が、ニコニコ顔で<やまのぼ>に、近づきながら、左右の手の親指と人差し指で、二つの半円弧をつくり、その端を繋いで見せたのだ。

意味不明の父親のその行動に、<やまのぼ>は、戸惑うばかりだった。

どう見ても、二つの半円弧が繋がれて、できた父親の指はSの字にしか見えない。「これ!やったことあるか?」と、そのS字を<やまのぼ>の臍のあたりに、近づけながら、質問してくる父親。

<やまのぼ>は、それを恐る恐る再び見ながら、『S?』『やったこと?』と交互に、心の中でつぶやいていたら、『Sって・・・スモークのことだ!タバコのことなんだ!』<やまのぼ>は合点した。

「うん!友達と学校の屋上で、何度かある!」と、応える<やまのぼ>の顔を、怪訝そうに見ながら、あのときの父親の顔は複雑だった。

それから、数年たち大学生になったころ、セックスの真似ごとをヤルようになって、その時のS字が、セックスの意味だったのだと、ハタと気づいたのだった。

<やまのぼ>は、古希を過ぎた今でも、その正解を父親から聞いていない。いや!もう~聞けない!父親は亡くなって、四半世紀以上にもなる。

今度、父親に逢ったら「あれは、セックスの意味だったんだね」って安心させてやりたい。

「学校の屋上で友達と、セックスをたびたびやっていたのか・・・」という、父親の誤解を解いてあげたいのだ。でもその機会も、もう~すぐだ!


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