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迷子

今の僕は人生の迷子だ。目的はないし、それを見つけるためのハウツーも持ち合わせていない。無難な飯を食べ、青い空をぼうっと眺め、夜はスマホの強烈な光で眠る。このルーティンを淡々と続ける日々。やめようとしないし誰も止めない。

一年前は夢があった。僕はゲームに関わる仕事がしたかった。だからゲームクリエイターを目指してこの専門学校に入学した。周りはオタク臭がする奴ばかりで、なんとなく何とかなりそうだと思った。実際はゲーム業界を社会を舐めていただけだった。

コロナでイベントや研修は軒並み潰れ、ひたすらオンライン授業を受け続けるだけ。ここで自主的に動けた奴だけが夢を叶えていった。僕はというと、あまりにもつまらない学校生活で夢などどうでもよくなっていたが、まだ根拠がなく脆い自信を抱きしめていた。

某有名ゲームデベロッパー主催のプログラミングコンテストが行われた。僕はそこでボコボコにされ身の程を知ることになった。企業が望む実力と自分の実力のギャップの大きさに、悔しさなどはなく、あったのは諦めだった。惨めに感じて、抱きしめていたものは手放した。

就活の季節になった。就活サイトはゲーム企業以外をひたすらチェックし説明会に何度か行ったが、気に入らずにESはほとんど出さずにいた。唯一受験したスーパーを経営する企業は一次面接で落ちた。なんで就活をしているのか考えたら納得できる答えが出なかった。その時、僕の就活は終わった。

なぜか心がボロボロになった僕は、半強制的に実家に連れ戻され精神科通いになった。何もしていないのに精神を病んでしまった僕は、毎日存在しないタスクに追われ自分の無能さを嚙みしめ、今すぐにでも消えてしまいたいと考えていた。人と関わることも嫌だった。

精神科から処方された薬を飲み忘れた翌日は、決まって漠然と気分が悪くなる。いつも以上に悲観的になり、現在や未来を憂いたり自己嫌悪に陥ってはTwitterに吐き出す。このnoteもその一種だ。だから、僕の世迷言だと思って読んでほしい。

時が経ち調子が元に戻ってきた。完全に同じとはいかないが、以前のように普通に生活できるレベルになった。そんな時コロナに感染した。38℃の高熱が続き、頭痛や喉の痛み、吐き気、嗅覚・味覚障害があった。いつも聴いている音楽がなぜか半音高く聞こえる。

友達とVCを繋ぐと必ず「聞こえづらい」と言われる。僕は自分の声が小さいのだと理解しつつも「マイクが悪い」と返す。実家とは他県の一人暮らししていた家に、間違えて代引きの荷物を送ってしまい、転送もできずスタックしてしまった。僕の人生はいつもこう情けない。

数えればキリがない失敗の数々。思い出せない成功体験。楽しい思い出は薄れ、辛い思い出は濃くなってゆく。何を間違えてしまったのかわからないまま、無難な飯を食べ、青い空をぼうっと眺め、夜はスマホの強烈な光で眠る。

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