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ベースボール・ファッション〜アンダーシャツ編〜

 筆者、のぼ〜る広報が野球で使われる用具を紹介しそこから分かることを紐解くことで、プロ野球選手における"おしゃれ"とはなんなのかを追求していく、題して「ベースボール・ファッション」。
 第五回は、野球界全体で見ても好みの袖の長さが大きく異なる、アンダーシャツです。

アンダーシャツとは?

 野球におけるアンダーシャツは、投手と野手がユニフォームの下に着る、主に黒い薄着のものを言います。
 また、アンダーシャツはプロ野球選手に限らず高校野球選手やアマチュア野球選手も例外なく着用しています。

ロッテ・佐々木朗希選手。両腕共に黒い長袖のアンダーシャツを着ていることがわかります。
オールスター時の巨人・岡本和真選手。DeNA・牧秀悟選手の顔Tシャツのさらに下にアンダーシャツを着ているのでしょう。

アンダーシャツの役割

 袖の長さなどは違えど、ほぼ全てのプロ野球選手が着用しているアンダーシャツ。では、その役割はどのようなものがあるのでしょうか。
 挙げられるのは主に4つ。
 ①汗を吸収するため。
 ②激しいプレー時(スライディングなど)の怪我防止。
 ③パフォーマンス向上のため。
 ④紫外線防止など身体への負担を軽減するため。

 1つずつ解説していくと、
 ①プレー中、野球は季節を問わず汗をかきます。その時、特に投手は汗が流れてくると手が滑るなどピッチングに影響が出ます。そのため、その汗を吸収するためにアンダーシャツを着ています。

 ②これはよく外野手にあることですが、打球をアウトにするため選手はスライディングキャッチをすることがあります。
 その際、足からにしろ頭からにしろ滑ると摩擦によって火傷ができる危険性があります。その熱を少しでも軽減するため、アンダーシャツが役に立つケースがあります。

 ③野球科学の進化により、アンダーシャツはテラテラしていて、締め付けが強いスタイルが主流となってきました(ただ、スポーツメーカーのデサントによればフィット感の強さ加減でコンプレッションタイプやゆったりタイプなどがある模様)。
 締め付けが強いタイプだと選手の筋肉が制約されるため、余分なブレが無くなり動きやすくなるそうです。

 ④日本の夏場は日差しが強く、屋外球場だと立っているだけでも凄まじい日光を浴びることになります。そうなると、紫外線による熱中症や夏バテが心配です。しかし、アンダーシャツを1枚着ることで熱中症対策となり、プレーが多少快適になるそうです。

 以上のような理由でアンダーソンは着用されているのですね。
 また、定かではありませんが投手は球種バレを防ぐために来ている人もいるとか。変化球とストレートでは握りが違うので手首の筋肉の動き方が明らかに変わり、そこを見られると打たれやすくなるかもしれないということです。
 そんなところまで見て研究するというのは、なんだか投げる方も気が気ではないですね(笑)。

アンダーシャツのレパートリーは思ったより存在する

 先ほどアンダーシャツのフィット感の違いについて軽く触れましたが、その他にも袖の長さや首丈の有無でも種類が分かれます。
 主な種類を挙げると、

 袖の長さ
 1:半袖
 2:長袖
 3:七分袖
 4:袖無し(ノースリーブ)
 ネックの形状
 1:襟なしのクルーネック
 2:襟ありのハイネック
 3:寒さ対策用のタートルネック
 フィット感
 1:締め付けの強いコンプレッションタイプ
 2:程よい着心地のフィットタイプ
 3:余裕のあるゆったりタイプ
 素材
 1:吸汗速乾性のあるポリエステル
 2:夏でもひんやりのレーヨン
 3:紫外線対策のUVカット加工素材

 と、これだけでもかなりの数があります。全ての種類を用意したとすると、そのレパートリーは4×3×3×3でおよそ100種類以上。これに限らずチームカラーによってモノを選んだりと、以外とアンダーシャツって奥が深いんですよね。
 これだけ種類があると自分に合ったスタイルを探すようになり、まさにファッションですよね。

片腕だけ長いアンダーシャツは何?

 この記事を読んでくださっている方なら、野球中継中に片腕だけアンダーシャツが伸びている選手を見て気になったことが1度でもあるのではないでしょうか。

ソフトバンク・柳田悠岐選手。右腕は覆われているものの、左腕はリストバンドのみになっているのが見てとれます。

 実はこれ、片腕だけ長いアンダーシャツではないんですよ。その正体は、なんと前回の「ベースボール・ファッション」で取り扱ったリストバンドのアームスリーブ型なんです。
 選手たちは半袖やノースリーブのアンダーシャツを着た上で、利き腕に長めのアームスリーブ型のリストバンドを着用していることが多々あります。片腕だけアンダーシャツが出ているように見えたのはそういうことだったのですね。これぞ野球のおしゃれです。

おしゃれな選手とアンダーシャツの組み合わせ3選

 例の如く、筆者がおしゃれな選手とアンダーシャツの組み合わせを3組選んでみました。

1 山本由伸選手×長袖

オリックス・山本由伸選手。投手はオーソドックスな長袖が似合いますね。

 1組目はオリックス・山本由伸選手と長袖アンダーシャツ。右の本格派エースと長袖アンダーシャツというある種王道の組み合わせが、山本由伸選手が着こなすことで1段階上のレベルのおしゃれへと昇華されています。
 また、オリックスのチームカラーである黒がユニフォームと上手くマッチしていていいですよね。

2 菊池涼介選手×半袖&リストバンド

広島・菊池涼介選手。右腕の赤いリストバンドと半袖になっている左腕のギャップがたまりません。

 2組目は、広島・菊池涼介選手と半袖アンダーシャツ&リストバンド。利き手は広島のアツい赤に覆われながら、左手は半袖で腕が出ているというギャップがとてもおしゃれです。
 また、リストバンドはチームカラーの赤をチョイスしているところも芸術点が高いです。

3 今永昇太選手×袖無し

DeNA・今永昇太選手。ここ最近になってからアンダーシャツを袖無しにすることが増え、WBCでもタンクトップのようなアンダーシャツを着ていました。

 3組目は、DeNA・今永昇太選手と袖無し。数年前までは青い長袖アンダーシャツを着ていましたが、最近では袖無しのアンダーシャツを着るように。投手ながらもリスクを気にせず袖無しにするところに意気を感じます。
 投げる時はいつもクレバーな今永選手ですが、袖無しのアンダーシャツからワイルドさが垣間見えるようでとてもいいです。

アンダーシャツから紐解いた"おしゃれ"

 最後に、今回のアンダーシャツから紐解けたプロ野球における"おしゃれ"をまとめてみましょう。
 アンダーシャツとは吸汗やパフォーマンス向上のために着用されるいわば下着で、袖の長さに始まり素材やフィット感などによって幅広く種類分けされていました。
 なかには半袖のアンダーシャツにアームスリーブのリストバンド型を着ける選手も多くいました。以上より、

プロ野球選手におけるおしゃれとは、数ある選択肢から自分の雰囲気に合ったものを選ぶこと

 だと筆者は考えました。
 数多くあるアンダーシャツ、皆さんも筆者のメイン記事であるディグプロの画像で是非確認してみてください。また、前回取り上げた「ベースボール・ファッション〜リストバンド編〜」の記事のURLも貼っておくので、是非そちらも読んでいただけると幸いです。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

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