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ベースボール・ファッション〜ヘルメット編〜

  筆者、のぼ〜る広報が野球で使われる用具を紹介しそこから分かることを紐解くことで、プロ野球選手における"おしゃれ"とはなんなのかを追求していく、題して「ベースボール・ファッション」。
 第八回は、筆者もこれで記事一本分持つのかと思案した(笑)ヘルメットです。

ヘルメットの起源

今季のプロ野球を代表する打者の1人である、オリックス・頓宮裕真選手。黒に金色のチームロゴが入ったヘルメットを着用しています。

 プロ野球では、ユニフォームやグローブなど、試合を行う上では必ず着用していなければいけない道具が存在します。
 ヘルメットも、その1つ。自転車に乗るときに被るような耳当てのないものとは異なり、野球のヘルメットは片方(場合によっては両方)に耳当てのついたキャップのような形をしています。
 では、このヘルメットは今までどのような変遷を辿ってきたのでしょうか。

 これ以前にもいくつかのヘルメット誕生にまつわるエピソードがありますが、ここでは1920年8月に起きた1つの事件から話を始めていこうと思います。

 日本での年号に直せば大正9年。現在も存命なら100歳を超えるというような時代に、メジャーリーグで死球を受けた選手がいました。
 クリーブランド・インディアンスの、レイ・チャップマン氏(故人)です。右打ちのチャップマン氏は1920年8月16日に、ヤンキースとの試合中頭部左側のこめかみに死球を受けます。すると、そのまま意識を失ってしまい、なんと翌17日にこの世を去ります。

故・チャップマン氏。この事件の後、選手は試合中に好きなタイミングでボールを変えられるようになったり、スピットボールが禁止になったりと、メジャーのルールは大きく変わりました。

 当時はヘルメットなどで頭を守るという風習がなく、ただ帽子を被っているだけでした。頭に直撃した時の音のあまりの大きさに、この試合で守備についていたベーブ・ルース氏が「ドスン」という音が聞こえたと証言していたのは有名な話です。
 幸か不幸か、現時点ではこの事件が、メジャーリーグ唯一の死球による死亡事故となっています。日本のプロ野球でも、死球による死亡事故は起こっていません(アマチュア野球では2件発生)。尊い1つの命のもとに、数々の選手の命と健康が守られてきたと言っても過言ではありませんね。

 これをきっかけに、インディアンスは翌1921年から革製のヘルメットを試験的に導入するなど、プレーから選手の命を守るための対策が考えられていきます。
 そして、現在の原型となる本格的なヘルメットが着用され出したのは、1950年代終盤になってきてから。この頃にポリカーボネートという軽くて丈夫なプラスチック製品が生み出され、これを用いたヘルメットが発売されるようになります。
 DIYのサイトによると、

 ポリカーボネートとは、熱可塑性樹脂の一種であるポリカーボネート樹脂が原料のプラスチック素材です。
耐衝撃性や耐久性、透明度に優れた素材であることから、カメラレンズやパーテーション、高速道路の透光板、車のヘッドランプなどに活用されています。
紫外線に強いうえに、-40℃~125℃までの温度に耐えられるため、屋根や看板などの屋外利用にも最適な素材です。
このように、身近なところにもポリカーボネートが使われている為、生活する上で必要不可欠な素材と言っても過言ではないでしょうか。

アクリ屋配信の記事より一部抜粋。

 と、生活の中でも使いやすい素材のようです。
 初めは自転車に乗る際に被るような頭だけを守る形だったヘルメットも、時代が経つごとに耳当てが付き、頰当てをつける人も増えてきました。
 選手が頭部死球を受けても死なずにいられるのは、過去からの教訓を活かしたからだったのですね。

頰当ては、実は日本発祥

 そんなヘルメットも、時代の移ろいにつれ進化していっています。その最たる例が、頰当て。

巨人・丸佳浩選手。筆者の中で頰当てをつけた選手といえば、丸選手ですね。

 近年の野球は昔に比べて平均球速がぐんぐん上がっており、投手から放たれた硬球は、もはや弾丸と遜色ありません。
 そのため、最近では頭だけでなく顎や頰に当たった際の心配も出てきていました。そんな時に、開発されたのが頰当て。

 1979年6月9日の近鉄対ロッテ戦にて近鉄・マニエル氏は八木沢荘六氏から顔面死球を受け、顎を複雑骨折します。
 その後、復帰したマニエル氏はヘルメットにガードを付けていました。このガードは、アメフトを参考にしたものだったそう。これ以降に頰当ての開発が進み、このオプションがメジャーリーグに"逆輸入"されました。

死球を受けた時のマニエル氏。顎を抑え、苦悶の表情で走っています。
復帰後のマニエル氏。アメフト仕様のフェースガードを付けてバッティングを行っていました。

ヘルメットの艶

 さらに、ヘルメットには艶というものがあります。要はピカピカしているかしていないかの違いですね。

高校野球の名門・大阪桐蔭高校のヘルメット。艶があり、光が反射してピカピカしているのが分かります。
今夏の大会で優勝を勝ち取った慶應高校のヘルメット。艶がなく、ザラザラとした感じが画像越しにも伝わってきます。

 以前までは艶のあるヘルメットが主流だったものが、21世紀に入ってからは徐々に艶消しヘルメットが台頭。現在ではどちらも見る形となりました。
 なぜ艶消しが流行ったのかは分かりませんでしたが、艶消しにすることで傷がつきにくくなったり、光の反射を抑える効果があるため、普及していったのではないかと筆者は考えています。
 皆さんはどちらのヘルメットが好きですか?筆者は艶消しヘルメットの方がオシャレだと思いますね。

おしゃれな選手とヘルメットの組み合わせ3選

 それでは、今回も筆者の独断と偏見でおしゃれな現役選手とヘルメットの組み合わせを3組紹介していきたいと思います。

1 中村晃選手×艶消し頰当て付きヘルメット

ソフトバンク・中村晃選手。中村晃選手といえばこの頰当てというイメージが強いですね。

 1組目は、ソフトバンク・中村晃選手と艶消し頰当て付きヘルメット。中村晃選手は肘当てなどをあまり付けず、いわゆる「飾らない美」がありますが、その中でもヘルメットには頰あてをつけています。そのギャップに加え白と黒と黄色、3色で統一感が出ているところもポイントが高いですね。

2 郡司裕也選手×艶あり頰当て付きヘルメット

日本ハム・郡司裕也選手。イケメンがこんなポーズするの反則ですよね(笑)。頰当てで口元が隠れていて、色気も出ています。

 2組目は、日本ハム・郡司選手と艶あり頰当て付きヘルメットの組み合わせ。日本ハムのヘルメットは他の球団の頰当てと異なり、細長い平行四辺形のような形をしています。その形が日本ハムの最先端さを表しているようで素敵ですよね。
 また、郡司選手もヒットを放つとポーズをするので、高確率で上の写真のようなイケメンな写真が撮れます。頰当てで口を隠すという平安時代のような様式もまた面白いですよね。

3 宮﨑敏郎選手×艶消しヘルメット

DeNA・宮﨑敏郎選手。耳当て部分の丸い形が宮﨑選手のぽっちゃりとした体型を連想させます。

 3組目は、DeNA・宮﨑敏郎選手と艶消しヘルメットの組み合わせ。宮﨑選手はスリムというわけでなく少しぽっちゃりとしており、頰当てがない事でキュートなほっぺたが見えるようになっています。
 筆者は、これも一種のおしゃれなのではないかと解釈しています。

ヘルメットから紐解いた"おしゃれ"

 というわけで、今回はヘルメットについて紐解いてきました。過去にあった悲惨な死亡事故から学んで作られたヘルメットは、時代が進むにつれ革製のものからプラスチックに、頰当てが付くなど、どんどん選手の命を守るものへと昇華されてきています。
 また、艶を出すか出さないかによってもヘルメットの印象は十分に変わるということがわかりました。以上のことより、筆者は、

プロ野球選手におけるおしゃれは、撮られる時の映り具合で決まる

 と考えました。選手の命を守るヘルメット、皆さんも試合観戦に行く時はファールボールに気をつけてご観戦ください。
 最後までお読みいただきありがとうございました。

出典・画像引用元

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